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肺がんにおける受容体チロシンキナーゼ阻害に対する耐性の原因となる迂回機構

Bypass Mechanisms of Resistance to Receptor Tyrosine Kinase Inhibition in Lung Cancer

Reviews

Sci. Signal., 24 September 2013
Vol. 6, Issue 294, p. re6
[DOI: 10.1126/scisignal.2004652]

Matthew J. Niederst1,2 and Jeffrey A. Engelman1,2*

1 Massachusetts General Hospital Cancer Center, Charlestown, MA 02129, USA.
2 Department of Medicine, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.

* Corresponding author. E-mail: jengelman@partners.org

要約:一部のがんにおいては、受容体チロシンキナーゼ(RTK)が体細胞遺伝子変化によって活性化されており、そのようながんは、活性化キナーゼの特異的阻害薬に感受性を示す場合が多い。このパラダイムの確立された2つの実例が、EGFR変異またはALK転座を有する肺がんである。これらのがんでは、対応するRTKの阻害によって、PI3K(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ)/AKT経路やMEK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ)/ERK(細胞外シグナル制御キナーゼ)経路などの、鍵となる下流のシグナル伝達経路が抑制され、その結果、細胞の増殖が停止し、死滅する。これらのがんにおいては、ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)阻害薬とEGFR(上皮成長因子受容体)阻害薬が初期には臨床的有効性を示すにもかかわらず、通常は1〜2年以内に、耐性が必ず出現する。過去数年間に、耐性に関わる複数の分子機構が同定され、いくつかの共通するテーマが浮上してきた。1つは、薬剤標的における耐性突然変異の発生により、薬剤がそれぞれのRTKを有効に阻害できなくなることである。2つ目は、本来の薬剤標的は持続的に阻害されているにもかかわらず、代替的なRTKの活性化によって、重要な下流経路のシグナル伝達が維持されることである。実際に、実験室での研究でも患者の検体においても、いくつかの異なるRTKが、EGFR阻害薬やALK阻害薬に対する耐性の促進に関与するとされている。このミニレビューでは、RTKを介する耐性の基礎となる概念、これまでに明らかにされた具体例、耐性を予防または克服するための改善された治療戦略の構築にこの知識を応用する際の課題を要約する。

M. J. Niederst, J. A. Engelman, Bypass Mechanisms of Resistance to Receptor Tyrosine Kinase Inhibition in Lung Cancer. Sci. Signal. 6, re6 (2013).

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