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生理学
血管が肝臓の再生を指示する

Physiology
Blood Vessels Direct Liver Regeneration

Editor's Choice

Sci. Signal., 28 January 2014
Vol. 7, Issue 310, p. ec23
[DOI: 10.1126/scisignal.2005114]

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

J. Hu, K. Srivastava, M. Wieland, A. Runge, C. Mogler, E. Besemfelder, D. Terhardt, M. J. Vogel, L. Cao, C. Korn, S. Bartels, M. Thomas, H. G. Augustin, Endothelial cell–derived Angiopoietin-2 controls liver regeneration as a spatiotemporal rheostat. Science 343, 416–419 (2014). [Abstract] [Full Text]

血管内皮細胞は、分泌されたシグナルに応答するだけでなく、発達および再生を指示するシグナルを生み出す。アンジオポエチン2(Ang2)は、血管形成中および炎症中に内皮細胞により産生される血管増殖因子である。予想外に、Huらは、肝部分切除術から1日後の肝類洞内皮細胞(LSEC)におけるAng2の発現が、偽手術を受けたマウスのLSECにおける発現と比較して、低下していることを見出した。その後Ang2 mRNAの存在量は徐々に増加し、手術から8日後に再生した肝臓が術前の質量と脈管構造を回復した後は、対照肝臓におけるAng2 mRNA存在量と同等になった。野生型(WT)マウスに由来する肝臓では、肝細胞の増殖と肝臓質量は、肝切除術の4日後にピークに達したが、Ang2–/–マウスでは、肝切除術の2日後にピークに達したことから、LSECに由来するAng2が肝細胞の増殖を抑制することが示唆された。肝細胞増殖因子(HGF)は、初代培養WT肝細胞において、いくつかの分裂促進性のシグナル伝達経路とDNA合成を刺激したが、Ang2はこれらの経路を活性化せず、DNA合成を促進しなかった。Ang2とその受容体Tie2がLSECにしか存在しなかったことから、Ang2は肝細胞の増殖を直接抑制するのではなく、LSECで自己分泌的に作用し、肝細胞増殖を制御する別のシグナルの産生を調節することが暗示された。実際、LSECにおけるAng2産生は、トランスフォーミング増殖因子β1(TGFβ1)の分泌と相関しており、TGFβ1は、細胞周期停止を誘導することで肝細胞増殖を抑制した。Ang2–/–マウスに由来するLSECと肝切除マウスの肝臓ライセートでは、対照組織と比較して、TGFβ1の発現が低下していた。細胞培養およびin vitro実験は、このTGFβ1低下と一致し、再生の初期段階に肝細胞の増殖阻害が解除された。その後の、再生の血管再生段階では、Ang2シグナル伝達が回復し、血管内皮増殖因子受容体2VEGFR2)の発現を刺激することで、LSECの増殖が促進された。したがって、この研究から、Ang2発現の時間的制御は、損傷後の肝細胞の増殖と新しい肝組織の血行再建を可能にする鍵であることが実証された。正常な状態では、LSECにおけるAng2に依存するTGFβ1産生が肝細胞の増殖を抑制する。肝臓の損傷は、LSECにおけるAng2発現の急速な低下をもたらし、それにより、肝細胞が増殖して消失組織を置換することが可能になる。LSECは徐々にAng2産生を回復し、それにより、増殖が刺激され、再生臓器に脈管構造が形成される。

A. M. VanHook, Blood Vessels Direct Liver Regeneration. Sci. Signal. 7, ec23 (2014).

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2014年1月28日号

Editor's Choice

生理学
血管が肝臓の再生を指示する

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