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免疫学
T細胞が脳を傷つける

Immunology
T Cells Hurt the Brain

Editor's Choice

Sci. Signal., 15 April 2014
Vol. 7, Issue 321, p. ec95
[DOI: 10.1126/scisignal.2005368]

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

B. D. S. Clarkson, C. Ling, Y. Shi, M. G. Harris, A. Rayasam, D. Sun, M. S. Salamat, V. Kuchroo, J. D. Lambris, M. Sandor, Z. Fabry, T cell–derived interleukin (IL)-21 promotes brain injury following stroke in mice. J. Exp. Med. 211, 595-604 (2014). [Abstract] [Full Text]

虚血性脳卒中が起きた後、T細胞は脳内に浸潤する。T細胞は後々には有益な作用をもたらすが、急性の炎症応答が生じている間はこれが組織損傷を引き起こすことから、免疫調節薬の探索が最優先課題となっている。Clarksonらは、虚血性脳卒中のモデルである一過性中大脳動脈閉塞(tMCAO)マウスを作成し、その脳内の炎症応答を調べた。マイクロアレイ解析により、tMCAO後24時間の脳内では、炎症に関連する遺伝子の中でサイトカイン・インターロイキン-21(IL-21)をコードする遺伝子が最も高発現していること、一方で、健康な脳組織ではIl21は検出不可能であることが明らかとなった。IL-21ノックアウト(IL-21 KO)マウスにおけるtMCAO作製後24時間の組織損傷の程度は野生型マウスに比べて低く、さらにIL-21 KOマウスの脳では野生型マウスの脳に比べ、浸潤しているCD4およびCD8T細胞数が少なかった。野生型マウスにtMCAOを作製し脳内の免疫細胞をフローサイトメトリー解析したところ、CD4+T細胞がIL-21の主要な供給源であることが明らかとなった。リンパ球欠損マウスにtMCAOを作製したところ野生型マウスに比べ脳組織損傷の程度が低くかった。ただし、野生型マウスのCD4+T細胞を用いて再構成したときはリンパ球欠損マウスの組織損傷は増大したが、IL-21 KOマウスのCD4+T細胞を用いて再構成したときには損傷は増大しなかった。tMCAO作製後早期に野生型マウスをIL-21受容体遮断薬で処理したところ組織損傷は緩和し、対照動物に比べ運動機能が改善していた。脳卒中患者の死後脳組織の免疫組織化学的染色では、血管周囲腔内にIL-21+CD4+T細胞が検出された。遺伝子発現解析からは、IL-21受容体をコードしている転写物の存在量は、マウスのニューロンが他の脳細胞に比べて多いことが示された。酸素グルコース欠乏負荷後にマウス培養神経細胞をIL-21で処理したところ、対照細胞に比べて細胞死が増加した。まとめると、これらのデータは、CD4+T細胞由来のIL-21はおそらく神経細胞死を誘導することで虚血性脳卒中後の組織損傷に寄与することを示し、IL-21のシグナル伝達を早期に標的化することが、脳卒中患者に対する有効な治療法となりえることを示唆している。

J. F. Foley, T Cells Hurt the Brain. Sci. Signal. 7, ec95 (2014).

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