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代謝
Notchの抑制によりベージュ脂肪細胞を増やす

Metabolism
Going a Notch More Beige

Editor's Choice

Sci. Signal., 12 August 2014
Vol. 7, Issue 338, p. ec211
DOI: 10.1126/scisignal.2005783

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

P. Bi, T. Shan, W. Liu, F. Yue, X. Yang, X.-R. Liang, J. Wang, J. Li, N. Carlesso, X. Liu, S. Kuang, Inhibition of Notch signaling promotes browning of white adipose tissue and ameliorates obesity. Nat. Med. 20, 911–918 (2014).[PubMed]

T. Gridley, S. Kajimura, Lightening up a notch: Notch regulation of energy metabolism. Nat. Med. 20, 811–812 (2014). [PubMed]

Notch受容体の活性化は、γ-セクレターゼを介したこの受容体の切断を引き起こし、Notch細胞内ドメインを生成する。これは核に移行し、Rbpj転写複合体に結合して、Hesファミリー遺伝子のような標的遺伝子の転写を活性化する。培養細胞を用いた研究では、脂肪細胞の分化におけるNotchシグナル伝達の働きについて、相反する結果が得られている。Biらは、白色脂肪細胞特異的なNotch1ノックアウトマウス(aNotch1マウス)とRbpjノックアウトマウス(aRbpjマウス)を作製した。aNotch1マウスの白色脂肪組織は野生型マウスに比べ、重量が少なく、比較的小型の細胞を含み、褐色脂肪組織に豊富に含まれるタンパク質であるUCP1の量が増加していた。aNotch1マウスとaRbpjマウスではいずれも、白色脂肪組織中の褐色脂肪特異的遺伝子(Ucp1Ppargc1aPrdm16など)の発現が亢進し、体温が高いことが示されており、このことは熱産生が高いことを示唆している。これらの結果は、白色脂肪細胞におけるNotchシグナル伝達の消失により、これらの細胞が、熱の形でエネルギーを逃がすという褐色脂肪細胞の特性を獲得できることを示唆している。このような白色細胞はベージュ脂肪細胞と呼ばれる。aNotch1マウスとaRbpjマウスは野生型マウスに比べインスリン感受性と耐糖能が改善され、またaNotch1マウスの白色脂肪組織を鼠径部に移植したとき、インスリン刺激性のグルコース取り込みが増大していた。さらにaNotch1マウスは代謝的活性が高く(ベージュ脂肪細胞数が増加していることを示す)、低温ストレスに対するベージュ脂肪細胞の産生が増加した。aNotch1マウスに高脂肪食を与えたとき、野生型マウスに比べて体重増加が少なく、インスリン感受性と耐糖能が高かった。高脂肪食を与えた野生型マウスの白色脂肪組織では、Notch受容体、Notch標的、またはその両方のmRNAとタンパク質の存在量が増加し、レプチン(白色脂肪組織により産生されるホルモン)をコードするLepの存在量も増加した。野生型マウスの脂肪細胞では、γ-セクレターゼ阻害薬によりNotchシグナル伝達を阻害することで褐色脂肪特異的遺伝子の発現が亢進したが、白色脂肪組織でNotch1細胞内ドメインを過剰発現したマウスでは、褐色特異的遺伝子の発現が低下していた。Notch標的遺伝子によりコードされる転写リプレッサーHes1は、Ppargc1aPrdm16のプロモーターに結合しその発現を抑制した。γ-セクレターゼ阻害薬であるDBZをob/obマウス(肥満の遺伝的モデル)に投与したとき、体重増加、白色脂肪組織の大きさと重量、および肝臓への脂質の蓄積が減少した。さらにインスリン感受性と耐糖能が改善し、結果的に白色脂肪組織の種々のNotch標的遺伝子の発現が低下し、Ucp1およびPpargc1aの発現が亢進した。同時に掲載されたcommentaryにおいてGridleyとKajimuraは、Notchリガンド-受容体相互作用を阻害することで、その他の疾患に対して臨床試験が行われているγ-セクレターゼ阻害薬で認められている重篤な副作用の発現率を、低下できる可能性があることを示唆している。

W. Wong, Going a Notch More Beige. Sci. Signal. 7, ec211 (2014).

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2014年8月12日号

Editor's Choice

代謝
Notchの抑制によりベージュ脂肪細胞を増やす

Research Article

神経膠芽腫におけるEGFRと炎症性サイトカインTNFαの両方によるがん化シグナル伝達はaPKCの標的化によって無効になる

IV型コラーゲンは接着Gタンパク質共役受容体GPR126の活性化リガンドである

チロシンキナーゼLynは形質細胞のサイトカイン応答性を制限してマウスにおける蓄積を制限する

Perspectives

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