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細胞死
ピロトーシスのメディエーターが同定される

CELL DEATH
Pyroptosis mediator identified

Editor's Choice

Sci. Signal. 03 Nov 2015:
Vol. 8, Issue 401, pp. ec319
DOI: 10.1126/scisignal.aad7791

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

J. Shi, Y. Zhao, K. Wang, X. Shi, Y. Wang, H. Huang, Y. Zhuang, T. Cai, F. Wang, F. Shao, Cleavage of GSDMD by inflammatory caspases determines pyroptotic cell death. Nature 526, 660–665 (2015). [PubMed]

N. Kayagaki, I. B. Stowe, B. L. Lee, K. O’Rourke, K. Anderson, Søren Warming, Trinna Cuellar, Benjamin Haley, Merone Roose-Girma, Qui T. Phung, Peter S. Liu, Jennie R. Lill, Hong Li, Jiansheng Wu, Sarah Kummerfeld, Juan Zhang, Wyne P. Lee, Scott J. Snipas, Guy S. Salvesen, Lucy X. Morris, Linda Fitzgerald, Yafei Zhang, Edward M. Bertram, Christopher C. Goodnow, Vishva M. Dixit, Caspase-11 cleaves gasdermin D for non-canonical inflammasome signalling. Nature 526, 666–671 (2015). [PubMed]

P. Broz, Caspase target drives pyroptosis. Nature 526, 642–643 (2015). [PubMed]

細胞死は、関与するタンパク質や死滅する細胞の形態学的特徴によって区別される、いくつかの異なる機序を介して起こりうる。ピロトーシスは、数種類の炎症シグナルに応答して発生する細胞死の一種であり、マウスではカスパーゼ1、11、12、ヒトではカスパーゼ1、4、5、12が関与し、細胞の膨張および溶解と、炎症性サイトカインインターロイキン-1β(IL-1β)の放出を伴う。細菌産物のリポ多糖(LPS)が細胞内に存在する場合には、マウスではカスパーゼ11、ヒトではカスパーゼ4のオリゴマー化と活性化が引き起こされる。その他の炎症分子がインフラマソームを刺激し、インフラマソームがカスパーゼ1を活性化させる。ShiらとKayagakiらは、それぞれ遺伝子ノックアウトスクリーニングと変異原性スクリーニングを用いて、gasdermin D(GSDMD)をコードする遺伝子がピロトーシス性細胞死に必要であることを突き止めた。いずれのグループも、機能的GSDMDを欠損した骨髄由来マクロファージ(BMDM)が、細胞内LPSに応答した細胞死に抵抗性を示すことを見出した。しかし、Shiらは、インフラマソームおよびカスパーゼ1介在性細胞死の活性化因子に応答したピロトーシスとIL-1β放出にも、GSDMDが必要であることを見出した一方、Kayagakiらの結果からは、インフラマソーム誘発性の細胞死は、阻害されるのではなく遅延することが示された。Brozが指摘しているように、これは実験手順の違いを反映している可能性がある。Shiらは、Kayagakiらが検討したよりも早期の事象を検討したためである。Shiらは、GSDMD欠損細胞がアポトーシスまたはネクロトーシスを起こすことを確認し、GSDMDはピロトーシス性細胞死に特異的であることを示した。いずれのグループも、カスパーゼ11がGSDMDを切断すること、GSDMD欠損細胞にAsp275のAla変異体を再導入しても、ピロトーシスおよびIL-1β放出は回復しないこと、N末端フラグメントの発現により細胞死が起こることを突き止めた。Shiらは、GSDMDを293T細胞に過剰発現させた場合、またはin vitroアッセイに用いた場合に、カスパーゼ1およびカスパーゼ4がGSDMDを切断することも報告した。切断部位をカスパーゼ3または7によって認識されるように改変し、この変異GSDMDをGSDMD–/– Hela細胞に発現させることにより、Shiらは、細胞は外因性細胞死経路を活性化させる刺激に応答して細胞死を起こすが、アポトーシスの形態学的特徴をもたず、細胞死応答はピロトーシスによって仲介されるとみられることを示した。Kayagakiらは、インフラマソームまたはカスパーゼ1の構成成分を欠損したBMDMでは、GSDMD切断されていることを見出し、カスパーゼ11による切断は、カスパーゼ1を活性化させるインフラマソーム複合体の形成よりも上流で発生することを示した。これらの研究では、ピロトーシス性細胞死の重要なメディエーターが発見されただけでなく、分泌シグナルが知られていないIL-1βの放出が、ピロトーシス時に発生する細胞溶解において起こる可能性があることが示唆されている。Brozが指摘しているように、今後の研究によって、ピロトーシスにおけるGSDMDの分子的役割が解明されるであろう。

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2015年11月3日号

Editor's Choice

細胞死
ピロトーシスのメディエーターが同定される

Research Article

iRhom1とiRhom2の細胞質ドメインの欠損はプロテアーゼADAM17によるTNF受容体の切断を促進する

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