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Gタンパク質共役受容体へのアゴニストの結合様式は電位変化がシグナル伝達に及ぼす影響を切り換える

The mode of agonist binding to a G protein–coupled receptor switches the effect that voltage changes have on signaling

Research Article

Sci. Signal. 03 Nov 2015:
Vol. 8, Issue 401, pp. ra110
DOI: 10.1126/scisignal.aac7419

Andreas Rinne1, Juan Carlos Mobarec2, Martyn Mahaut-Smith3, Peter Kolb2, and Moritz Bünemann4,*

1 Department of Cardiovascular Physiology, Ruhr University Bochum, Universitätsstr. 150, D-44780 Bochum, Germany.
2 Department of Pharmaceutical Chemistry, Philipps University Marburg, Marbacher Weg 6, D-35032 Marburg, Germany.
3 Department of Cell Physiology and Pharmacology, University of Leicester, University Road, P. O. Box 138, Leicester LE1 9HN, UK.
4 Department of Pharmacology and Clinical Pharmacy, Philipps University Marburg, Karl-von-Frisch-Str. 1, D-35043 Marburg, Germany.

* Corresponding author. E-mail: moritz.buenemann@staff.uni-marburg.de

要約 多くのヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)共役型受容体(GPCR)によるシグナル伝達は、細胞膜電位の変化によって増強あるいは減弱されるGPCRシグナル伝達の電圧感度の構造的な相関関係を同定するため、われわれはムスカリン性アセチルコリン受容体(M1、M3、およびM5アイソフォーム)をモデル系として選択した。われわれは、電圧クランプ条件下において受容体活性をモニタリングする蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ベースのアッセイ法による分子ドッキング分析を組み合わせた。個々の受容体を発現するヒト胚腎臓(HEK)293細胞をアゴニスト、カルバコールで刺激した場合、膜の脱分極は、M1受容体によるシグナル伝達を増強させたが、M3およびM5受容体によるシグナル伝達を減弱させた。さらに、膜の脱分極が受容体シグナル伝達を増強あるいは阻害するかは、アゴニストの種類に依存していた。受容体にカルバコールまたはアセチルコリンが結合すると、膜の脱分極はM3受容体シグナル伝達を減弱させたのに対し、受容体にコリンまたはピロカルピンのいずれかが結合すると、脱分極はシグナル伝達を増強させた。ドッキング計算は、受容体機能に及ぼす脱分極の影響と関連したこれらのリガンドに対する2つの異なる結合様式があることを予測した。これらの計算から、われわれは、in silicoで変異させるとカルバコールの結合様式をピロカルピンの結合様式に似るよう変化させうるM3受容体の一つの残基を同定した。この変異させたM3受容体の細胞への導入は、膜の脱分極がカルバコール結合受容体によるシグナル伝達を減弱させるよりむしろ増強させることを確証した。合わせると、これらのデータは、GPCRシグナル伝達の電圧感度の方向性が受容体へのそれぞれのリガンドの特異的な結合様式によって定義されることを示唆している。

Citation: A. Rinne, J. C. Mobarec, M. Mahaut-Smith, P. Kolb, M. Bünemann, The mode of agonist binding to a G protein-coupled receptor switches the effect that voltage changes have on signaling. Sci. Signal. 8, ra110 (2015).

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