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パネキシン1:NMDAおよびアドレナリン受容体シグナル伝達のメディエーター

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Pannexin1: A mediator of NMDA and adrenergic receptor signaling

Editor's Choice

Sci. Signal. 08 Mar 2016:
Vol. 9, Issue 418, pp. ec49
DOI: 10.1126/scisignal.aaf6061

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

N. L. Weilinger, A. W. Lohman, B. D Rakai, E. M. Ma, J. Bialecki, V. Maslieieva, T. Rilea, M. V. Bandet, N. T. Ikuta, L. Scott, M. A. Colicos, G. C. Teskey, I. R. Winship, R. J. Thompson, Metabotropic NMDA receptor signaling couples Src family kinases to pannexin-1 during excitotoxicity. Nat. Neurosci. 19, 432-442 (2016). [PubMed]

M. Billaud, Y.-H. Chiu, A. W. Lohman, T. Parpaite, J. T. Butcher, S. M. Mutchler, L. J. DeLalio, M. V. Artamonov, J. K. Sandilos, A. K. Best, A. V. Somlyo, R. J. Thompson, T. H. Le, K. S. Ravichandran, D. A. Bayliss, B. E. Isakson, A molecular signature in the pannexin1 intracellular loop confers channel activation by the α1 adrenoreceptor in smooth muscle cells. Sci. Signal. 8, ra17 (2015). [Abstract]

パネキシン1(Panx1)は、細胞原形質膜で非選択的チャネルを形成する。NMDA受容体は、イオンチャネル型グルタミン酸受容体の一種である。Weilingerらは、興奮毒性に関与するNMDA受容体の「代謝型」シグナル伝達経路を発見した。グルタミン酸部位と、グリシンまたはセリンによって占有される調節部位の両方にリガンドが結合すると、海馬ニューロンにおいて、NMDA受容体のチャネル機能が関与しない機構を介して、興奮毒性シグナル伝達が引き起こされた。代わりに、これらのNDMA受容体は、Panx1およびチロシンキナーゼSrcとヘテロ三量体複合体を形成し、Panx1を活性化させた。Panx1は、これらのニューロンにおいて、細胞傷害性の電流を媒介した。重要な点として、NMDA依存的にリン酸化される部位を有し、この経路を妨げる、Panx1のC末端領域に由来するペプチドが、実験的に脳卒中を誘発されたげっ歯類において、ニューロン死を抑制し、感覚運動機能を改善させた。したがって、この代謝型NMDA受容体によって活性化されるPanx1-Src経路を阻害することが、他のNMDA受容体標的療法に伴う望ましくない副作用を引き起こすことなく、脳卒中を治療するための戦略となる可能性がある。Panx1チャネルと共役する受容体は、NMDA受容体だけではない。Billaudらは、平滑筋細胞において、Panx1と、Gq共役Gタンパク質共役受容体(GPCR)であるα1アドレナリン受容体(α1AR)の関連を見出した。この場合は、Panx1の第1細胞内ループの一領域に由来するペプチドが、α1ARの活性化によって仲介される血管収縮を妨害した。Panx1の同領域のチロシン残基が、マウスにおけるα1ARを介する血管収縮に必要であったことから、この調節経路にはリン酸化も関与している可能性が示唆された。これらの研究では、イオンチャネル型受容体(NMDA受容体)とGq共役GPCR(α1AR)の下流にある「非古典的」シグナル伝達経路が明らかにされている。

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2016年3月8日号

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