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接着分子PECAM-1はTGF-βによって媒介されるT細胞機能の阻害を増強する

The adhesion molecule PECAM-1 enhances the TGF-β–mediated inhibition of T cell function

Research Article

Sci. Signal. 08 Mar 2016:
Vol. 9, Issue 418, pp. ra27
DOI: 10.1126/scisignal.aad1242

Debra K. Newman1,2,3,*, Guoping Fu1, Tamara Adams1, Weiguo Cui1,3, Vidhyalakshmi Arumugam1, Theresa Bluemn1, and Matthew J. Riese1,3,4,*

1 Blood Research Institute, BloodCenter of Wisconsin, 8727 Watertown Plank Road, Milwaukee, WI 53226, USA.
2 Department of Pharmacology and Toxicology, Medical College of Wisconsin, 8701 Watertown Plank Road, Milwaukee, WI 53226, USA.
3 Department of Microbiology and Molecular Genetics, Medical College of Wisconsin, Milwaukee, WI 53226, USA.
4 Division of Hematology and Oncology, Department of Medicine, Medical College of Wisconsin, Milwaukee, WI 53226, USA.

* Corresponding author. E-mail: debra.newman@bcw.edu (D.K.N.); mriese@mcw.edu (M.J.R.)

要約  トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)は、T細胞の炎症誘発性機能を阻害する免疫抑制性サイトカインであり、腫瘍に対するT細胞活性を抑制するうえでの主要因子である。標準的なTGF-βシグナル伝達は、標的遺伝子の発現を調節する転写因子であるSmadタンパク質の活性化を引き起こす。われわれは、細胞表面分子の血小板内皮細胞接着分子1(PECAM-1)がT細胞において非標準的な(Smadとは独立した)TGF-βシグナル伝達を亢進することを見出した。TGF-βに媒介される免疫抑制に増殖を左右されることになる皮下に注入された腫瘍細胞は、PECAM-1−/−マウスにおいて、野生型マウスの場合よりもゆっくり増殖した。PECAM-1−/−マウスから単離されたT細胞は、インターフェロンγ(IFN-γ)産生、グランザイムB合成、細胞増殖のTGF-βに依存した阻害に対して比較的低い感受性を示した。同様に、PECAM-1の欠失したヒトT細胞でもTGF-βに対する感受性の低下がみられたが、この低下はPECAM-1の再発現によって部分的に回復した。TGF-βとT細胞を活性化させる抗体を添加してT細胞を培養すると、免疫受容抑制性チロシンモチーフ(ITIM)上でPECAM-1がリン酸化され、抑制性のSrc相同領域2(SH2)含有チロシンホスファターゼ2(SHP-2)が動員された。このような条件下では、PECAM-1とTGF-β受容体複合体の共局在も誘導され、共免疫沈降法、共焦点顕微鏡法、近接ライゲーションアッセイによって同定された。これらの研究は、T細胞でTGF-βの抑制性機能が亢進される際にPECAM-1が担う役割を示すものであり、抑制性のPECAM-1–TGF-β軸を治療標的とすることが、腫瘍微小環境におけるTGF-β依存性の免疫抑制を克服する手段になることを示唆している。

Citation: D. K. Newman, G. Fu, T. Adams, W. Cui, V. Arumugam, T. Bluemn, M. J. Riese, The adhesion molecule PECAM-1 enhances the TGF-β–mediated inhibition of T cell function. Sci. Signal. 9, ra27 (2016).

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