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B細胞が早期分娩を防止する

B cells prevent preterm labor

Editor's Choice

Sci. Signal. 17 Jan 2017:
Vol. 10, Issue 462,
DOI: 10.1126/scisignal.aam7592

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

B. Huang, A. N. Faucette, M. D. Pawlitz, B. Pei, J. W. Goyert, J. Z. Zhou, N. G. El-Hage, J. Deng, J. Lin, F. Yao,R. S. Dewar III, J. S. Jassal, M. L. Sandberg, J. Dai, M. Cols, C. Shen, L. A. Polin, R. A. Nichols, T. B. Jones,M. H. Bluth, K. S. Puder, B. Gonik, N. R. Nayak, E. Puscheck, W.-Z. Wei, A. Cerutti, M. Colonna, K. Chen ,Interleukin-33-induced expression of PIBF1 by decidual B cells protects against preterm labor. Nat. Med.23, 128–135 (2017). Google Scholar

子宮のB細胞におけるPIBF1の発現を刺激することで、早期分娩およびその結果として生じる新生児死亡を防止できるかもしれない。

要約
全身性感染および炎症は妊娠37週以前の早産(早期分娩)を引き起こす可能性があり、早産は全世界における新生児死の原因の第一位である。B細胞は抗体を産生することで感染と闘い、インターロイキン-10(IL-10)を産生することで炎症を抑制する。母体のB細胞は、おそらくは半同種移植片である胎児の拒絶を避けるため、妊娠中に著しく変化する。B細胞の機能不全は早期分娩をはじめとする妊娠合併症と関連している。Huangらは、正期または早期分娩した女性の絨毛脱落膜間質(子宮内膜の一部)からB細胞を単離し、特徴を明らかにした。早産の検体ではB細胞数が増加して活性化され、自己反応性および多反応性免疫グロブリンを分泌することができる「B-1」細胞と推定された。また、早産の絨毛脱落膜の上皮/間質組織は、数種のB細胞刺激性分子を多く含んでいた。しかし、炎症性刺激としてリポ多糖体(LPS)を用い全身性炎症を誘発した早期分娩のマウスモデルにおいて、B細胞の欠乏は子宮の炎症、高い早期分娩率および高い新生児死亡率を促した。このことは、B細胞が早期分娩から保護することを示している。ホルモンであるプロゲステロンは満期妊娠を促進し、妊娠中は免疫調節性タンパク質であるプロゲステロン誘導性遮断因子1(PIBF1)のアイソフォームが免疫細胞と栄養膜細胞により分泌される。種々のイムノアッセイから、妊娠後期のヒト絨毛脱落膜のB細胞にはPIBF1が豊富に含まれていることが明らかにされた。B細胞欠損マウスでは野生型マウスに比べ、妊娠後期の子宮組織においてPibf1の基礎的およびLPS誘導性の発現が低下していたが、血清中プロゲステロン濃度は類似していた。LPS誘導性のPibf1発現はB細胞養子移植により回復し、完全長のヒトPIBF1遺伝子組換体をB細胞欠損マウスに投与したとき、LPS誘発性の子宮炎症および早期陣痛・早期分娩、さらに新生児の死亡率は低下したが、ヒトPIBF1のC末端断片を投与したときは低下しなかった。ヒト末梢B細胞のサイトカインスクリーニングから、IL33はPIBF1の発現を促進することが明らかにされた。一方、妊娠後期Il33/マウスの子宮中のB細胞では、Pibf1の発現が低下していた。IL-33は組織損傷を示す「危険信号」であるが、早期分娩したヒト絨毛脱落膜のB細胞では、IL-33受容体α-鎖およびPIBF1の両方の存在量が減少していた。このことは、B細胞の数が増加し活性化が亢進するものの、IL-33の危険シグナルの感受性低下とそれによるPIBF1誘導の低下は、妊娠後期における炎症に対するB細胞の保護的応答の亢進を阻止することを示している。本試験から、早期分娩のリスクがある患者に対する、検討すべき新たな治療的手段が解明された。

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