少しのストレスはよい

A little stress is good

Editor's Choice

Sci. Signal. 30 May 2017:
Vol. 10, Issue 481, eaan8358
DOI: 10.1126/scisignal.aan8358

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

C. Abe, T. Inoue, M. A. Inglis, K. E. Viar, L. Huang, H. Ye, D. L. Rosin, R. L. Stornetta, M. D. Okusa, P. G.Guyenet, C1 neurons mediate a stress-induced anti-inflammatory reflex in mice. Nat. Neurosci. 20, 700-707 (2017). Google Scholar

急性心理的ストレスは、交感神経細胞と脾臓のあいだのシグナル伝達を誘発し、虚血性組織損傷から保護する。

要約
脳卒中、心停止、睡眠時無呼吸、臓器移植などの低酸素性損傷後の組織再酸素化時に起こる、虚血再灌流傷害(IRI)に起因する炎症は、回復を遅らせ、線維化に寄与し、さまざまな疾患における死亡の原因となる。IRIに反応して、迷走神経細胞はコリン作動性抗炎症経路(CAP)を活性化させ、炎症の持続時間と程度を制限する。心理的ストレスにも反応する交感神経系が、同様に抗炎症反射に寄与する可能性がある。Abeらは、急性心理的ストレスが、交感神経細胞により活性化されるCAPを介してIRIから守ることを見出した。マウスに心理的ストレスを引き起こす、短時間の身体拘束は、ストレス無負荷のマウスと比べて、腎IRI後の交感神経C1ニューロンからのコリン作動性シグナル伝達を活性化させ、脾臓における免疫細胞産生を刺激し、腎損傷のマーカーを低下させた。同様に、C1ニューロンの光遺伝学的な活性化、ノルアドレナリンと培養した脾臓免疫細胞の注入、あるいはストレス負荷マウスから回収した脾細胞の注入により、マウスはIRIから保護された。一方、コリン作動性シグナル伝達、C1活性、あるいは脾細胞産生を抑制すると、拘束ストレス誘導性の保護が阻害された。これらの結果から、短時間の心理的ストレスが、このCNSから脾臓への抗炎症系を介して、その後の身体的損傷に対抗するように身体を刺激する可能性が示唆される。この経路を治療的に活性化させることで、さまざまな疾患や損傷、臓器移植に伴う炎症が抑制される可能性がある。

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2017年5月30日号

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