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疾患に関連するULBP6多型はNKG2Dリガンド結合の安定性を高めることによってNKG2Dに媒介される標的細胞傷害を阻害する

A disease-linked ULBP6 polymorphism inhibits NKG2D-mediated target cell killing by enhancing the stability of NKG2D ligand binding

Research Article

Sci. Signal. 30 May 2017:
Vol. 10, Issue 481, eaai8904
DOI: 10.1126/scisignal.aai8904

Jianmin Zuo1,*, Carrie R. Willcox1,*, Fiyaz Mohammed1,*, Martin Davey1, Stuart Hunter1, Kabir Khan1, Ayman Antoun1,†, Poonam Katakia1, Joanne Croudace1, Charlotte Inman1, Helen Parry1,2, David Briggs3, Ram Malladi1,2, Benjamin E. Willcox1,*,‡, and Paul Moss1,2,*,‡

1 Cancer Immunology and Immunotherapy Centre, Institute of Immunology and Immunotherapy, University of Birmingham, Vincent Drive, Edgbaston, Birmingham B15 2TT, UK.
2 Department of Haematology, University Hospital Birmingham, Birmingham B15 2TH, UK.
3 National Health Service Blood and Transplant, Birmingham B15 2SG, UK.

‡ Corresponding author. Email: p.moss@bham.ac.uk (P.M.); b.willcox@bham.ac.uk (B.E.W.)

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: School of Pharmacy, Faculty of Science and Engineering, University of Wolverhampton, Wolverhampton WV1 1LY, UK.

要約
NKG2D(ナチュラルキラー細胞群2のメンバーD)は、ナチュラルキラー(NK)細胞などの免疫細胞の表面にみられる活性化受容体であり、ストレス誘導性リガンドであるULBP1(UL16結合タンパク質1)のULBP6とMICA/Bによる認識を通じて自然免疫と獲得免疫を調節する。これらNKG2Dリガンドは、ヒト白血球抗原(HLA)クラスIと同様に、主要組織適合性複合体様の折り畳みを有し、顕著な多型性を呈し、ヒト疾患感受性に影響する。しかし、HLAクラスIの多型は主にα1α2の溝構造にみられ、抗原結合に影響するが、大部分のNKG2Dリガンド多型の影響は不明である。われわれは、ULBP遺伝子のなかでもっとも高頻度な多型性を有するULBP6の主要な2つのアレルについて、その分子的意義と機能的意義を調べた。これら2つのアレルは、自己免疫と幹細胞移植後の再発に関連する。表面プラズモン共鳴法と結晶構造解析から、ULBP0602のアルギニンがロイシンに置換された多型は、エネルギーのホットスポットを生成することによってNKG2DとULBP6の相互作用に影響することが明らかになった。その結果、NKG2DとULBP0602との親和性は15.5 nMとなった。これは、他のULBPとNKG2Dとの相互作用の親和性の10倍から1,000倍の大きさであり、NKG2Dに媒介される活性化を抑制した。また、可溶性ULBP0602はNKG2Dに対する競合結合で高い親和性を示し、NKG2Dに媒介されたNK細胞の他のNKG2Dリガンドによる活性化を部分的に抑制した。これらの作用は、NKG2Dに媒介される多様なエフェクター機能を弱める結果となった。今回の結果から、ULBP多型は細胞ストレスシグナルに対するヒトリンパ球応答の強度に影響しており、治療介入の機会を提供する可能性があることが明らかになった。

Citation: J. Zuo, C. R. Willcox, F. Mohammed, M. Davey, S. Hunter, K. Khan, A. Antoun, P. Katakia, J. Croudace, C. Inman, H. Parry, D. Briggs, R. Malladi, B. E. Willcox, P. Moss, A disease-linked ULBP6 polymorphism inhibits NKG2D-mediated target cell killing by enhancing the stability of NKG2D ligand binding. Sci. Signal. 10, eaai8904 (2017).

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