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がん細胞を餓死させる
Starving cancer cells to death
Sci. Signal. 07 Aug 2018:
Vol. 11, Issue 542, eaau9719
DOI: 10.1126/scisignal.aau9719
Annalisa M. VanHook
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
F. Obrist, J. Michels, S. Durand, A. Chery, J. Pol, S. Levesque, A. Joseph, V. Astesana, F. Pietrocola, G. S. Wu, M.Castedo, G. Kroemer, Metabolic vulnerability of cisplatin-resistant cancers. EMBO J. 37, e98597 (2018).
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N. Guidi, V. D. Longo, Periodic fasting starves cisplatin-resistant cancers to death. EMBO J. 37, e99815 (2018).
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シスプラチン耐性がん細胞は特に、飢餓誘導性の細胞死に至りやすい
要約
断続的な絶食は体重減少とインスリン感受性を促進し、血圧を低下させ、全身性の炎症を軽減し、概して代謝と生理機能を改善する1つの戦略とされている。また、絶食とカロリー制限は化学療法剤に対するがん細胞の感受性を高めると考えられるため、がん患者に対して有益であるとも報告されている。Obristらは、化学療法剤であるシスプラチンに耐性をもつヒト非小細胞肺がん細胞「A549」が、微小管を標的とする化学療法剤、栄養制限、およびアセチル補酵素A活性の抑制によりカロリー制限を模倣する薬物により誘導される細胞死に対して、非耐性細胞に比べて感受性が高いことを見出した。シスプラチン耐性A549細胞を異種移植したマウスでは、非耐性A549細胞の担がんマウスに比べ、週2回、24時間の飢餓状態にすることで腫瘍増殖が抑制され、生存率が向上した。グルタミンの添加は、低栄養にあるシスプラチン耐性細胞の細胞死を抑制し、グルタミンの除去は耐性細胞にシスプラチン感受性を回復させた。メタボロミクスおよび代謝改変実験(metabolism-altering experiment)から、シスプラチン耐性細胞は特に、クレブス回路を通したエネルギー産生に関してではなくヌクレオシドの生合成に関してグルタミン依存性であることが示された。実際、シスプラチン耐性細胞にヌクレオシドを補充すると飢餓誘導性の細胞死がレスキューされ、また、シスプラチン耐性の細胞/異種移植片は非耐性の細胞/異種移植片に比べ、ヌクレオシドおよびヌクレオチドの生合成の阻害薬に対する感受性が高かった。これらの所見は、シスプラチン耐性がんの場合、定期的な絶食が、薬物によるDNA損傷の修復に必要な栄養を細胞から除去することによって、患者の転帰を改善する可能性があることを示唆している(Guidi and Longoの論文参照)。