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がんと免疫におけるcGASの二面性

The two faces of cGAS in cancer and immunity

Editor's Choice

Sci. Signal. 20 Nov 2018:
Vol. 11, Issue 557, eaaw0850
DOI: 10.1126/scisignal.aaw0850

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

H. Liu, H. Zhang, X. Wu, D. Ma, J. Wu, L. Wang, Y. Jiang, Y. Fei, C. Zhu, R. Tan, P. Jungblut, G. Pei, A.Dorhoi, Q. Yan, F. Zhang, R. Zheng, S. Liu, H. Liang, Z. Liu, H. Yang, J. Chen, P. Wang, T. Tang, W. Peng, Z.Hu, Z. Xu, X. Huang, J. Wang, H. Li, Y. Zhou, F. Liu, D. Yan, S. H. E. Kaufmann, C. Chen, Z. Mao, B. Ge,Nuclear cGAS suppresses DNA repair and promotes tumorigenesis. Nature 563, 131-136 (2018). Google Scholar

cGASによる細胞質DNAセンシングが免疫を亢進する一方で、cGASの核への局在が腫瘍の発生を促進する可能性がある。

要約

DNA損傷の検出と修復は細胞の健康にとって重要である。たとえば、DNA損傷修復シグナル伝達はDNAの完全性を維持し、腫瘍の発生を抑制する。細胞質DNAセンサーであるcGAS(環状GMP-AMPシンターゼ)は、微生物感染に対する免疫反応を刺激する。しかしLiuらは、cGASの局在が厳密に調節されているにちがいないことを示した。培養線維芽細胞と培養肺がん細胞をDNA損傷剤で処理すると、インポーチンに媒介されたcGASの核への移行が誘導され、核内でcGASはDNA修復を抑制した。cGASのこの機能は、自然免疫においてcGASが果たす従来型のDNAセンシング機能を介したcGASのDNA結合活性や酵素活性とも、炎症性活性とも独立していた。その代わり、生化学的解析では、cGASがDNA損傷部でリン酸化H2AX(DNA損傷マーカー)と共局在し、ポリADPリボース(PAR)と結合し、PARに媒介される修復関連タンパク質複合体の動員を障害していることが示された。さらなる解析とRNA干渉スクリーニングでは、cGASはBリンパ球チロシンキナーゼ(BLK)によってリン酸化されると細胞質内に保持されることが確認された。リン酸化されないようにcGASを変異させる、またはBLKをノックダウンさせると、cGASの核への移行が促進され、DNA修復が障害され、細胞増殖が亢進された。一方で、リン酸化模倣変異体を発現させるとcGASは細胞質内に隔離され、DNA損傷修復が促進され、細胞増殖が抑制された。cGASを過剰発現させると、マウスに移植された肺がん細胞の同種移植片の増殖は促進されたが、注目すべきことに、培養細胞はDNA損傷剤に感作された。非小細胞肺がんでは、cGASの発現量は増加することが多く、BLKの発現量は減少することが多い。これらの知見は、こうした関連性の背後にある腫瘍の発生機構を示し、患者が治療に感受性を示す可能性を明らかにするものである。さらには、白血病などの一部の腫瘍においてBLKを治療標的とする方法を探究する場合にはこれらの知見を考慮すべきであり、ウイルス関連腫瘍の発生機構という観点でこの機構を調べれば、なおさら興味深いことだろう。

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