作り上げ、破壊する

Build them up, break them down

Editor's Choice

Sci. Signal. 19 Feb 2019:
Vol. 12, Issue 569, eaax0155
DOI: 10.1126/scisignal.aax0155

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

M. Georgouli, C. Herraiz, E. Crosas-Molist, B. Fanshawe, O. Maiques, A. Perdrix, P. Pandya, I. Rodriguez-Hernandez, K. M. Ilieva, G. Cantelli, P. Karagiannis, S. Mele, H. Lam, D. H. Josephs, X. Matias-Guiu, R. M. Marti,F. O. Nestle, J. L. Orgaz, I. Malanchi, G. O. Fruhwirth, S. N. Karagiannis, V. Sanz-Moreno, Regional activation of Myosin II in cancer cells drives tumor progression via a secretory cross-talk with the immune microenvironment. Cell 176, 757-774.e23 (2019). Google Scholar

F. G. Kugeratski, S. J. Atkinson, L. J. Neilson, S. Lilla, J. R. P. Knight, J. Serneels, A. Juin, S. Ismail, D. M. Bryant,E. K. Markert, L. M. Machesky, M. Mazzone, O. J. Sansom, S. Zanivan, Hypoxic cancer-associated fibroblasts increase NCBP2-AS2/HIAR to promote endothelial sprouting through enhanced VEGF signaling. Sci. Signal.12, eaan8247 (2019). Abstract/FREE Full TextGoogle Scholar

がん細胞と間質細胞は血管構造を操作するシグナルを放出し、腫瘍の転移または増殖を促進している。

要約

がん細胞および腫瘍微小環境の細胞は、血管構造を操作するシグナルを放出して腫瘍の転移または増殖を促進している。転移性メラノーマ細胞がその他の部位に生着するためには血管から逃れる必要があり、これをアメーバ様遊走と呼ばれる形式の遊走で行うが、そのためにはキナーゼROCKおよび細胞骨格リモデリング因子であるミオシンIIが必要である。Georgouliらは、ヒトメラノーマ試料が円形がん細胞、リン酸化MLC2(ミオシンIIが高活性であることの指標)および浸潤マクロファージを多く含んでいることを見出し、マクロファージの近傍で血管密度が高いことを明らかにした。低転移性で比較的細長いA375Pメラノーマ細胞と比べ、より円形のA375M2メラノーマ細胞ではミオシンII活性が亢進し、IL-1αなどの炎症促進性サイトカインをより大量に分泌し、NF-κB活性の亢進が認められた。A375M2細胞におけるタンパク質の分泌とNF-κB活性の亢進は、ミオシンIIおよび分泌型IL-1αのいずれかまたは両方に依存していた。A375M2細胞から形成された腫瘍は、A375P細胞から形成されたものよりも大型であり、円形細胞を多く含み、高いマクロファージ浸潤と高いMLC2のリン酸化が認められた。メラノーマはしばしば肺に転移する。著者らはROCKまたはNF-κBをノックダウンしたメラノーマ細胞は肺毛細管透過性が亢進しておらず、対照細胞に比べて肺への生着が比較的少ないことを見出した。そこで著者らは、原発性メラノーマ病変切除後の転移播種を制限するために、ROCK阻害剤またはIL-1α遮断抗体を用いることを提案している。

固形がんにおいて生じる低酸素状態により、がん細胞の生存を可能にして効率的な化学療法薬の浸透を妨げる、機能不全の血管構造が形成される。腫瘍間質中のがん関連線維芽細胞(CAF)は、重要な血管新生シグナルを放出する。本誌archivesの論文においてKugeratskiらはCAFのプロテオームおよびセクレトームを分析し、低酸素状態がこれらの細胞のセクレトームを変化させることを見出した。著者らは、以前には特性が明らかにされていなかったタンパク質を同定し、HIARと新たに命名した。HIARは低酸素状態のCAFにおいて存在量が増加しており、血管新生促進因子であるVEGFのCAFからの放出を促進し、内皮細胞においてVEGF依存性シグナル伝達を誘導した。これらの結果は、タンパク質レベルでのCAFセクレトームの概要を示し、抗血管新生療法の新たな標的候補を示している。

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2019年2月19日号

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作り上げ、破壊する

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