• ホーム
  • 自己阻害型立体配座におけるTrioのC末端グアニンヌクレオチド交換因子モジュールの構造はその発がん性を明らかにする

自己阻害型立体配座におけるTrioのC末端グアニンヌクレオチド交換因子モジュールの構造はその発がん性を明らかにする

Structure of the C-terminal guanine nucleotide exchange factor module of Trio in an autoinhibited conformation reveals its oncogenic potential

Research Article

Sci. Signal. 19 Feb 2019:
Vol. 12, Issue 569, eaav2449
DOI: 10.1126/scisignal.aav2449

Sumit J. Bandekar1,2, Nadia Arang3,4, Ena S. Tully2,5,*, Brittany A. Tang2,5,*, Brenna L. Barton2,5,*, Sheng Li6, J. Silvio Gutkind3,7, and John J. G. Tesmer8,†

1 Department of Medicinal Chemistry, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
2 Life Sciences Institute, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
3 Moores Cancer Center, University of California San Diego, La Jolla, CA 92093, USA.
4 Biomedical Sciences Graduate Program, University of California San Diego, La Jolla, CA 92093, USA.
5 Department of Pharmacology, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
6 Department of Medicine, University of California San Diego, La Jolla, CA 92093, USA.
7 Department of Pharmacology, University of California San Diego, La Jolla, CA 92093, USA.
8 Departments of Biological Sciences and of Medicinal Chemistry and Molecular Pharmacology, Purdue University, West Lafayette, IN 47907, USA.

† Corresponding author. Email: jtesmer@purdue.edu

* These authors contributed equally to this work.

要約

TrioのC末端グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)モジュール(TrioC)は、ヘテロ三量体Gタンパク質のGαq/11サブファミリーから低分子量グアノシントリホスファターゼ(GTPase)RhoAにシグナルを伝達し、Gαq/11共役Gタンパク質共役受容体(GPCR)が細胞の運動性や遺伝子の転写などの下流事象を制御することを可能にする。この保存されたシグナル伝達軸は、ブドウ膜黒色腫における腫瘍増殖にとって極めて重要である。これまでの研究は、TrioCモジュールのGEF活性が自己阻害され、Gαq/11結合時に自己阻害が解除されることを示している。本研究では、基底状態におけるTrioCの結晶構造を決定し、プレクストリン相同性(PH)ドメインがRho GTPase結合部位を閉塞するようにDbl相同性(DH)ドメインと相互作用することを見出し、それによりTrioC自己阻害の分子基盤が示唆された。生化学的および生物物理学的アッセイは、自己阻害型立体配座の破壊がin vitroでTrioCモジュールを不安定化し活性化することを明らかにした。最後に、がん患者に見られるDH-PH界面の変異は、TrioCを活性化し、完全長Trioの状態では、ヒト細胞においてグアノシン三リン酸結合型RhoA(RhoA GTP)の存在量の増加をもたらした。これらの変異は、RhoA軸を介した分裂促進性シグナル伝達を増加させ、したがって、Gαq/11非依存的に作用するがんドライバーを表している可能性がある。

Citation: : S. J. Bandekar, N. Arang, E. S. Tully, B. A. Tang, B. L. Barton, S. Li, J. S. Gutkind,J. J. G. Tesmer, Structure of the C-terminal guanine nucleotide exchange factor module of Trio in an autoinhibited conformation reveals its oncogenic potential. Sci. Signal. 12, eaav2449 (2019).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2019年2月19日号

Editors' Choice

作り上げ、破壊する

Research Article

Gβγ-SNARE相互作用を無効化するとGPCRに媒介されるシナプス前抑制が妨害され、生理的および行動的表現型が引き起こされる

自己阻害型立体配座におけるTrioのC末端グアニンヌクレオチド交換因子モジュールの構造はその発がん性を明らかにする

グルタチオンS-転移酵素は脳炎症時に炎症誘発性のアストロサイト‐ミクログリア間連絡を促進する

最新のResearch Article記事

2025年09月16日号

インターロイキン15と18はmTORC1の非典型的活性化を通じてナチュラルキラー細胞の抗腫瘍機能を相乗的に刺激する

2025年09月16日号

野生型RASシグナル伝達はRAS変異型がんのきわめて重要な治療標的である

2025年09月09日号

フソバクテリウム・ヌクレアタムは酪酸駆動型エピジェネティック機構を通じてアンフェタミン誘導行動応答を増強する

2025年09月02日号

一次感覚ニューロンのGαqシグナル伝達がオピオイドの鎮痛作用をNMDA受容体誘導性の耐性および痛覚過敏に変化させる

2025年09月02日号

MAPKおよびmTORC1シグナル伝達は収束してサイクリンD1タンパク質の産生を駆動することによってメラノーマのパーシスター(残存)細胞における細胞周期の再開を可能にしている