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コルチ器官を損傷から保護する

Protecting the organ of Corti from damage

Editor's Choice

Sci. Signal. 07 May 2019:
Vol. 12, Issue 580, eaax8884
DOI: 10.1126/scisignal.aax8884

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

J. Jung, J. E. Yoo, Y. H. Choe, S. C. Park, H. J. Lee, H. J. Lee, B. Noh, S. H. Kim, G.-Y. Kang, K.-M. Lee, S. S. Yoon, D. S. Jang, J.-H. Yoon, Y.-M. Hyun, J. Y. Choi, Cleaved cochlin sequesters Pseudomonas aeruginosa and activates innate immunity in the inner ear. Cell Host Microbe 25, 513-525.e6 (2019). Google Scholar

K. Komatsu, J.-D. Li, Cleaved cochlin: One guard with two roles in surveillance. Cell Host Microbe 25, 475-476(2019). Google Scholar

cochlinのLCCLドメインは細菌性病原体を隔離し、自然免疫応答を刺激することによって聴覚を保護する。

要約

感染症、聴覚毒性薬物、過度に大きな音は、蝸牛のコルチ器官に損傷を与え、難聴を引き起こす可能性がある。全身性免疫細胞はコルチ器官まで到達できないので、局所的な自然免疫応答が感染症による損傷からコルチ器官を保護している。Limulus(カブトガニ)factor C、cochlin、細胞外マトリクスとの相互作用を仲介するLgl1(LCCL)ドメインと2つのフォン・ヴィルブランド因子A(vWFA)様ドメインを含むタンパク質Cochlinは、内耳に豊富に存在し、聴覚の維持に必要である。Jungらは、マウスの内耳にPseudomonas aeruginosa(緑膿菌)を感染させると、細胞外メタロプロテアーゼであるアグリカナーゼ1に依存する形で、内耳液(外リンパ)へのcochlin LCCLドメインの放出が促進されたことを報告する。LCCLドメインを内耳に注入すると、Cochlin−/−マウスは感染による難聴から保護された。LCCLドメインの放出は、蝸牛において感染によって促進される炎症性サイトカインのインターロイキン1β(IL-1β)とIL-6の産生にも、コルチ器官と隣接する鼓室階(外リンパで満たされた腔)へのマクロファージと好中球の動員にも必要であった。in vitroでは、cochlin LCCLドメインはP. aeruginosaおよび他の耳感染症を引き起こす細菌種に結合して凝集させ、好中球に対するケモアトラクタント(化学誘引物質)として機能した。感染マウスでは、cochlin LCCLドメインは細菌が蝸牛全体に広まるのを防ぎ、感染を鼓室階に制限した。この知見は、コルチ器官を感染による損傷から保護する際にcochlinが細菌の隔離と自然免疫応答の促進という二重の役割を担うことを示している。何がCochlinの切断を引き起こし、細菌および自然免疫細胞の両方とどのように相互作用するのかを決定することは、この系を利用して難聴を治療することを提案するあらゆる戦略にとって重要となる(Komatsu and Liによるコメンタリーも参照)。

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2019年5月7日号

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コルチ器官を損傷から保護する

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