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SOCEとミトコンドリアと炎症

SOCE, mitochondria, and inflammation

Editor's Choice

Sci. Signal. 28 May 2019:
Vol. 12, Issue 583, eaay1437
DOI: 10.1126/scisignal.aay1437

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

U. Kaufmann, S. Kahlfuss, J. Yang, E. Ivanova, S. B. Koralov, S. Feske, Calcium signaling controls pathogenic Th17 cell-mediated inflammation by regulating mitochondrial function. Cell Metab. 29, 1104-1118.e6(2019). Google Scholar

ストア作動性カルシウム流入がミトコンドリアの機能を調節し、病原性TH17細胞を支援して炎症を促進する。

要約

ヘルパーT17(TH17)細胞は、炎症性サイトカインであるインターロイキン17(IL-17)を分泌して細菌感染や真菌感染に対する免疫応答を媒介するCD4+ T細胞のサブセットである。また、自己免疫疾患や慢性炎症性疾患にも関与する。TH17細胞は、T細胞受容体(TCR)が刺激されることによって活性化され、小胞体に常在するセンサーSTIM1に依存する形で細胞膜CRACチャネルを通したストア作動性Ca2+流入(SOCE)を引き起こす。Kaufmannらは、機能亢進型STAT3変異体をCD4+ T細胞で特異的に発現するマウス(S3CCD4マウス)ではTH17細胞が自然に産生され、広範な肺炎症がみられるが、CD4+ T細胞のSTIM1をノックアウトしたマウス(S1-S3CCD4マウス)では、TH17細胞が減少し、IL-17量が減少し、炎症が抑制されることを見出した。S3CCD4 TH17細胞と比較すると、S1-S3CCD4 TH17細胞では病原性TH17細胞に関連する遺伝子の発現量が低下していたが、いずれの種類の細胞でも、TH17細胞の発生に必要な因子の発現量は同等であった。S1-S3CCD4 TH17細胞では、細胞周期の移行がみられず、STIM1が十分に供給されるS3CCD4マウスに比べて増殖効率が低いこともわかった。また、S1-S3CCD4 TH17細胞では、ミトコンドリア電子伝達鎖の構成要素をコードする多くの遺伝子の発現量が減少し、ミトコンドリアが膨張し、酸化的リン酸化(OXPHOS)が損なわれていた。さらに、S1-S3CCD4 TH17細胞では抗酸化遺伝子の発現量が低下していて、結果的に、S3CCD4 TH17細胞と比べて活性酸素種(ROS)の産生が促進されていた。ROS蓄積量の増加は、S1-S3CCD4 TH17細胞のDNA損傷とアポトーシスを引き起こした。S3CCD4マウスの肺から単離された病原性TH17細胞をOXPHOS阻害物質オリゴマイシンで処理すると、IL-17産生量が減少し、非病原性TH17細胞に関連する遺伝子の発現量が増加した。T細胞移入大腸炎モデルにおいて、S3CCD4マウス由来のCD4+ T細胞を移入されたマウスでは、S1-S3CCD4マウス由来のCD4+ T細胞を移入されたマウスに比べて体重減少が大きく、大腸の炎症が促進された。まとめると、これらの知見は、病原性TH17細胞に媒介される炎症を駆動するミトコンドリア機能の調節にはSTIM1に依存したSOCEが重要であることと、SOCEを標的にすればTH17細胞に媒介される炎症性疾患の治療につながる可能性があることを示している。

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2019年5月28日号

Editor's Choice

SOCEとミトコンドリアと炎症

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