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Parkinがネクロトーシスを防ぐ

Parkin protects against necroptosis

Editors' Choice

Sci. Signal. 20 Aug 2019:
Vol. 12, Issue 595, eaaz1464
DOI: 10.1126/scisignal.aaz1464

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

S. B. Lee, J. J. Kim, S.-A. Han, Y. Fan, L.-S. Guo, K. Aziz, S. Nowsheen, S. S. Kim, S.-Y. Park, Q. Luo, J. O. Chung,S. I. Choi, A. Aziz, P. Yin, S.-Y. Tong, F. C. Fiesel, W. Springer, J.-S. Zhang, Z. Lou, The AMPK-Parkin axis negatively regulates necroptosis and tumorigenesis by inhibiting the necrosome. Nat. Cell Biol. 21, 940-951(2019).
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K. Cao, S. W. G. Tait, Parkin inhibits necroptosis to prevent cancer. Nat. Cell Biol. 21, 915-916 (2019).
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AMPKに媒介されるリン酸化によってParkinが活性化されるとRIPK3が阻害されてネクロトーシスが妨げられる。

要約

ネクロトーシスは炎症やがんを引き起こす調節された細胞死である。キナーゼRIPK1とその関連キナーゼRIPK3を逐次活性化させると、偽キナーゼMLKLがRIPK3に媒介されてリン酸化され、多量体化して細胞膜を透過性にする。神経変性疾患およびがんのマウスモデルにおいてE3ユビキチンリガーゼParkinの欠損が炎症と腫瘍形成の増加に関連することから、Leeらはネクロトーシスの調節におけるParkinの役割を調べた。細胞内でParkinはRIPK3と相互作用し、RIPK3のポリユビキチン化を促進し、結果的にMLKLのリン酸化を減少させた。RIPK3のポリユビキチン化には、キナーゼAMPKがParkinのSer9をリン酸化してParkinのE3ユビキチンリガーゼ活性を活性化する必要があった。ParkinとRIPK3との相互作用を消失させる大腸がん関連変異、またはAMPKに媒介されるリン酸化を妨げる変異を伴うParkinを発現する細胞では、RIPK3のポリユビキチン化は減少した。Parkin欠損マウスでは、小腸において炎症の増加とRIPK3のリン酸化促進し,自然発生腸ポリープが対照マウスよりも高頻度で認められ、これらの作用はRIPK3阻害薬で処理すると抑制された。大腸炎関連がんモデルでは、AMPKを薬理学的に活性化させると、野生型マウスでは炎症、ポリープ形成、RIPK3リン酸化が抑制されたが、Parkin欠損マウスでは抑制されなかった。著者らは、ネクロトーシス細胞におけるAMPKの活性化は低ATP濃度によって引き起こされる可能性があると推測するが、関連コメンタリーでCaoとTaitが指摘するとおり、ネクロトーシスを阻害する経路がネクロトーシス経路自体と同時に活性化される理由については、まだ明らかにされていない。

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2019年8月20日号

Editors' Choice

Parkinがネクロトーシスを防ぐ

Research Article

適応的交差薬剤耐性において腫瘍表現型可塑性と代謝リモデリングを標的にする

セマフォリン4Cによる逆シグナル伝達はがん細胞においてSMAD1/5-およびID1/3-依存的浸潤性再プログラミングを誘発する

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