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オルガネラは脂質動員のために接触する

Organelle contacts for lipid mobilization

Editor's Choice

Sci. Signal. 24 Sep 2019:
Vol. 12, Issue 600, eaaz5525
DOI: 10.1126/scisignal.aaz5525

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

R. Ugrankar, J. Bowerman, H. Hariri, M. Chandra, K. Chen, M.-F. Bossanyi, S. Datta, S. Rogers, K. M. Eckert, G. Vale, A. Victoria, J. Fresquez, J. G. McDonald, S. Jean, B. M. Collins, W. M. Henne, Drosophila Snazarus regulates a lipid droplet population at plasma membrane-droplet contacts in adipocytes. Dev. Cell 50, 557-572.e5 (2019).
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オルガネラ間クロストークが、ショウジョウバエにおける脂質の貯蔵と動員を制御する。

要約

キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)は、哺乳類の肝臓と脂肪組織の生理学的機能を併せもつ器官である脂肪体で脂質を産生し、貯える。脂肪体の脂肪細胞において、循環脂質からまたは小胞体(ER)でのde novo合成によって産生されるトリアシルグリセリド(TAG)は脂肪滴(LD)に貯蔵される。Ugrankarらは、脂肪体の脂肪細胞に、空腹時に数が減少する、細胞膜(PM)に結合した小型の周辺LD(pLD)と、空腹による影響を受けない大型の細胞質内側LD(mLD)の両方が含まれることを見出した。循環脂質またはde novo脂質生合成を撹乱した実験では、pLDが循環から得られる脂質を貯蔵し、mLDがde novo脂肪合成の産物を貯蔵することと一致する結果が得られた。pLD―mLDはそうではない―の適切な大きさと数を維持するには、皮質アクチン、pLD結合ペリリピンLSD2、酵母Mdm1のホモログであるSnazarus(Snz)が必要であった。Mdm1は、LDに結合してそれらを空胞につなぐ、ERアンカー型タンパク質である。SnzはER-PM接触部位に局在し、pLDと直接相互作用し、ハエ成虫において空腹時の適切なTAG動員に必要とされた。Snzの過剰発現によって、脂肪体のTAG貯蔵が増加し、絶食中の幼虫と成虫両方の生存期間が延長し、高糖質食を与えた成虫の寿命が延長した。これらは、TAG貯蔵が、代謝機能不全や疾患を引き起こす過剰な栄養素のシンクとして作用することと一致する。以上の結果から、恒常的および適応的な細胞生物学的過程両方の調節における、オルガネラ接触の重要性が説明されている。

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2019年9月24日号

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オルガネラは脂質動員のために接触する

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