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CDK7がYapを安定化する
CDK7 stabilizes Yap
Sci. Signal. 04 Feb 2020:
Vol. 13, Issue 617, eabb0965
DOI: 10.1126/scisignal.abb0965
Annalisa M. VanHook
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
Y. S. Cho, S. Li, X. Wang, J. Zhu, S. Zhuo, Y. Han, T. Yue, Y. Yang, J. Jiang, CDK7 regulates organ size and tumor growth by safeguarding the Hippo pathway effector Yki/Yap/Taz in the nucleus. Genes Dev. 34, 53-71 (2020).
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S. Piccolo, Linking cancer transcriptional addictions by CDK7 to YAP/TAZ. Genes Dev. 34, 4-6 (2020).
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CDK7は、転写コアクチベーターであるYapを分解から保護することで、細胞増殖と組織成長を促進している。
要約
Hippoシグナル伝達経路は、転写コアクチベーターであるYapおよびTazの細胞質滞留を促進することで、細胞の成長を制限している。このキナーゼカスケードの抑制はYapおよびTazの核内移行を可能にし、そこでこれらは細胞の成長に必要な遺伝子の発現を促進する。Choらは、サイクリン依存性キナーゼ7(CDK7)の不活性化が、YapおよびTazのキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)ホモログであるYorkie(Yki)の過剰発現により誘導される眼の異常成長を、抑制することを見出した。CDK7は、Hippoキナーゼカスケードとは独立し、またRNAポリメラーゼII(Pol II)の活性化因子としてのその役割(基礎転写を促進する)とは独立して、その補助因子であるサイクリンHおよびMat1と共にYki標的遺伝子の発現を促進した。核内でCDK7は、YkiをSer169部位で直接リン酸化し、これがE3ユビキチンリガーゼ複合体CRL4DCAF12によるYkiのユビキチン化を阻害し、それによってYkiを分解から保護していた。CDK7のノックダウンはハエにおいてYki誘導性の組織異常成長を抑制することに加え、幅広い培養ヒトがん細胞株においてYapの存在量およびYap標的遺伝子の発現、増殖および侵襲性を低下させた。CDK7リン酸化部位を欠損する変異型Yapの発現は、野生型Yapの発現よりもこの抑制を回復させた。肝臓内の過剰増殖を認めるマウスモデルにおいて、CDK7の薬理学的阻害剤の投与はYap存在量、Yap標的遺伝子の発現、肝細胞の増殖、および肝臓の全体サイズを低下させた。これらの所見は、CDK7がYki/Yapの活性を促進する機構を同定したのみならず、なぜCDK7が、Pol II活性の刺激を通して基礎転写の高発現を促進することに加えて、がんおよび炎症における特定の標的遺伝子セットの発現を促進するのかについて、1つの可能性のある説明を示している。