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がんにおけるGタンパク質シグナル伝達タンパク質の調節因子の変異ランドスケープの探索

Probing the mutational landscape of regulators of G protein signaling proteins in cancer

Research Resources

Sci. Signal. 04 Feb 2020:
Vol. 13, Issue 617, eaax8620
DOI: 10.1126/scisignal.aax8620

Vincent DiGiacomo*, Marcin Maziarz, Alex Luebbers, Jillian M. Norris, Pandu Laksono, and Mikel Garcia-Marcos†

Department of Biochemistry, Boston University School of Medicine, Boston, MA 02118, USA.

† Corresponding author. Email: mgm1@bu.edu

* Present address: DeepBiome Therapeutics, Cambridge, MA 02139, USA.

要約

ディープシーケンス技術の出現により、がんにおけるGタンパク質共役受容体(GPCR)シグナル伝達経路の変異が、以前に認識されていたよりも顕著であることが明らかにされている。新たに生じたテーマは、がん関連変異がGPCR経路の活性化を促進して発がん性を助長する傾向があるということである。Gタンパク質シグナル伝達調節因子(RGS)タンパク質は、GPCRシグナル伝達の重要な調節因子であり、GTPアーゼ促進タンパク質(GAP)活性によりヘテロ三量体Gタンパク質の活性を弱める。この活性は「RGSボックス」と呼ばれる保存ドメインによって付与される。われわれはここに、がんにおけるRGS GAPの変異ランドスケープを体系的に評価する実験パイプラインを開発した。GAP活性を持つ20のRGSドメインの汎がんバイオインフォマティクス解析により、保存されたRGSドメイン構造全体に広がる数百の低頻度変異が明らかになり、Gタンパク質との界面位置にわずかな濃縮が見られた。拡張可能な酵母ベースのアッセイを用いて、すべてのRGS GAPサブファミリーを代表し、Gタンパク質界面と非界面位置の両方をサンプリングする複数の変異を実験的にテストした。最後に、変異体のサブセットは、哺乳類細胞においてGタンパク質活性バイオセンサーを用いて検証された。われわれの発見により、RGSタンパク質変異のかなりの割合が、Gタンパク質結合界面の破壊、タンパク質安定性の喪失、Gタンパク質のカップリングに及ぼすアロステリック効果など、さまざまなメカニズムを通じて機能の喪失につながることが明らかになった。さらに、われわれの結果はまた、RGSタンパク質のがん関連変異の迅速な特性評価のための拡張可能なパイプラインの有効性を実証している。

Citation: V. DiGiacomo, M. Maziarz, A. Luebbers, J. M. Norris, P. Laksono, M. Garcia-Marcos, Probing the mutational landscape of regulators of G protein signaling proteins in cancer. Sci. Signal. 13, eaax8620 (2020).

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