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EBV感染がもつ治療としての可能性

Therapeutic potential of EBV infection

Editor's Choice

Sci. Signal. 02 Jun 2020:
Vol. 13, Issue 634, eabd0677
DOI: 10.1126/scisignal.abd0677

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

R. Guo, C. Jiang, Y. Zhang, A. Govande, S. J. Trudeau, F. Chen, C. J. Fry, R. Puri, E. Wolinsky, M. Schineller, T. C.Frost, M. Gebre, B. Zhao, L. Giulino-Roth, J. G. Doench, M. Teng, B. E. Gewurz, MYC controls the Epstein-Barr virus lytic switch. Mol. Cell 78, 653-669.e8 (2020). Google Scholar

MYCまたはその発現を維持する因子を標的にすることによって、EBV感染が、B細胞リンパ腫に対する治療手段に変わる可能性がある。

要約

腫瘍溶解性ウイルスの利用により、抗腫瘍免疫応答が引き起こされ、患者の腫瘍が選択的に殺傷される可能性がある。世界人口の多くにおいて持続感染として存在する、溶解期ではなく潜伏期のエプスタイン・バーウイルス(EBV)は、バーキットリンパ腫やホジキンリンパ腫、さらには種々の上皮がんに関連する。しかし、溶解期(潜伏期ではなく)のEBV抗原は免疫原性を有する。ゲノムワイドなCRISPR/Cas9機能喪失スクリーニングを用いて、Guoらは、転写因子MYCが、バーキットリンパ腫細胞内でのEBV潜伏感染の維持にきわめて重要であることを見出した。MYCは、存在量がさまざまなエピジェネティックタンパク質によって支えられており、プロモーターへの結合とクロマチンのリモデリングによって、多種多様な溶解関連遺伝子を抑制した。MYCの発現を直接的または間接的に低下させること、例えば低分子阻害剤CBL0137を用いてFACT(facilitated chromatin transcription complex)と呼ばれる関連因子の1つを標的にすることなどによって、培養およびin vivoにおいて、溶解遺伝子の多くの発現が再活性化した。EBVは感染するとB細胞で速やかにMYC発現を誘導し、MYCはB細胞リンパ腫の侵襲性増殖を促進するため、これらの結果からは、CBL0137などを用いてB細胞のMYC発現を低下させることによって、EBVを治療目的で利用し、EBV陽性B細胞悪性腫瘍の患者において現在の治療戦略の効果を高めることや、新たな治療戦略を実現することが可能であることが示唆される。

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2020年6月2日号

Editor's Choice

EBV感染がもつ治療としての可能性

Research Article

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Gタンパク質バイアスS1P1アゴニストであるSAR247799はリンパ球数に影響を与えずに内皮細胞を保護する

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