PHD3なしで運動改善

A better workout without PHD3

Editor's Choice

Sci. Signal. 11 Aug 2020:
Vol. 13, Issue 644, eabe2256
DOI: 10.1126/scisignal.abe2256

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

H. Yoon, J. B. Spinelli, E. Zaganjor, S. J. Wong, N. J. German, E. C. Randall, A. Dean, A. Clermont, J. A. Paulo, D.Garcia, H. Li, O. Rombold, N. Y. R. Agar, L. J. Goodyear, R. J. Shaw, S. P. Gygi, J. Auwerx, M. C. Haigis, PHD3 loss promotes exercise capacity and fat oxidation in skeletal muscle. Cell Metab. 32, 215-228.e7 (2020).
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PHD3の欠乏は骨格筋の脂肪酸酸化を亢進し、持久運動能力を改善する

要約

ACC2酵素は脂肪酸酸化(FAO)を抑制する。運動中などエネルギーストレスがある間、キナーゼであるAMPKはACC2のSer222をリン酸化し、その活性を阻害する。急性骨髄性白血病細胞ではFAOが亢進しているが、このような表現型は、プロリルヒドロキシラーゼPHD3の存在量が減少しているため、PHD3によるACC2の水酸化の低下と関連している表現型である。Yoonらは、骨格筋のACC2活性調節における、これら2つの翻訳後修飾の間の相互作用を検討した。AMPKを介したPro450のリン酸化とPHD3を介したPro450の水酸化の間には、逆相関が認められた。その結果、低グルコース中で培養されたマウス胚性線維芽細胞(MEF)、または絶食下のマウスから採取した心筋および大腿四頭筋では、ACC2のリン酸化は亢進し水酸化は低下していた。細胞およびin vivoにおいて、PHD3を介したACC2の水酸化はAMPKを介したリン酸化によって阻害された。また、高グルコースに曝露された細胞では低グルコースに曝露された細胞に比べ、PHD3とACC2の相互作用が亢進していた。また、運動後のマウスから採取した骨格筋では、ACC2のリン酸化が亢進し、ACC2の水酸化が低下していた。PHD3の全体的な欠損または骨格筋特異的な欠損は、マウスにおける運動耐容能を亢進し、これらのマウスから採取した大腿四頭筋ではFAOが増加していた。このようにFAOは、PHD3を介したACC2の水酸化によって抑制され、AMPKを介したリン酸化によって阻害される。

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2020年8月11日号

Editor's Choice

PHD3なしで運動改善

Research Article

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