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フィブロネクチンの酸化的架橋はプロテアーゼ耐性を付与し細胞移動を阻害する

Oxidative cross-linking of fibronectin confers protease resistance and inhibits cellular migration

Research Article

Sci. Signal. 11 Aug 2020:
Vol. 13, Issue 644, eaau2803
DOI: 10.1126/scisignal.aau2803

Morgan L. Locy1, Sunad Rangarajan1, Sufen Yang1, Mark R. Johnson1, Karen Bernard1, Ashish Kurundkar1, Nathaniel B. Bone1, Jaroslaw W. Zmijewski1, Jaeman Byun2, Subramaniam Pennathur2,3, Yong Zhou1, and Victor J. Thannickal1,*

  1. 1 Division of Pulmonary, Allergy, and Critical Care Medicine, Department of Medicine, University of Alabama, Birmingham, AL 35294, USA.
  2. 2 Division of Nephrology, Department of Internal Medicine, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
  3. 3 Computational Medicine and Biology, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.

* Corresponding author. Email: vthannickal@uabmc.edu

要約

細胞外タンパク質にo,o′-ジチロシン架橋を生成するチロシン残基の酸化は、無脊椎動物のさまざまな状況における細胞外マトリックス(ECM)の適切な機能に必要である。チロシン酸化は、脊椎動物における甲状腺ホルモンの生合成にも必要であり、筋線維芽細胞によって分泌される細胞外タンパク質で起こる酸化的架橋反応の証拠がある。ECMタンパク質フィブロネクチンは、システインの酸化によって生成されたジスルフィド架橋を介して二量体化する球状タンパク質として血液中を循環する。われわれは、トランスフォーミング増殖因子-β1(TGF-β1)で活性化されたヒト筋線維芽細胞の表面にある細胞性(フィブリル)フィブロネクチンが、ジスルフィド架橋を破壊する還元条件下でo,o′-ジチロシン架橋により多量体化するが、可溶性フィブロネクチンはしないことを見出した。チロシン残基に対するこの反応には、創傷治癒および線維形成過程に積極的に関与している、TGF-β1に依存した過酸化水素の生成と炎症細胞に由来するミエロペルオキシダーゼ(MPO)の存在の両方が必要であった。マトリックスフィブロネクチンの酸化的架橋は、上皮と線維芽細胞の両方の移動を減衰させ、複数のプロテアーゼによるタンパク質分解に対する耐性を付与した。循環o,o′-ジチロシン修飾フィブロネクチンの存在量は、肺線維症のマウスモデルおよび間質性肺疾患のヒト被験者で、対照の健常者と比較して増加していた。これらの研究は、チロシンが炎症条件下のフィブリル状フィブロネクチンで安定した共有結合を受けることができ、この修飾がそのような修飾マトリックス上での細胞の移動挙動に影響を与えることを示し、この修飾が生理学的および病態生理学的組織修復の両方に役割を果たす可能性があることを示唆している。

Citation: M. L. Locy, S. Rangarajan, S. Yang, M. R. Johnson, K. Bernard, A. Kurundkar, N. B. Bone, J. W. Zmijewski, J. Byun, S. Pennathur, Y. Zhou, V. J. Thannickal, Oxidative cross-linking of fibronectin confers protease resistance and inhibits cellular migration. Sci. Signal. 13, eaau2803 (2020).

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