• ホーム
  • PERKのキナーゼ挿入ループを標的化するとマウスにおいて全身毒性を伴わずにPERKシグナル伝達が選択的に調節される

PERKのキナーゼ挿入ループを標的化するとマウスにおいて全身毒性を伴わずにPERKシグナル伝達が選択的に調節される

Targeting the kinase insert loop of PERK selectively modulates PERK signaling without systemic toxicity in mice

Research Article

Sci. Signal. 11 Aug 2020:
Vol. 13, Issue 644, eabb4749
DOI: 10.1126/scisignal.abb4749

Daniel T. Hughes1, Mark Halliday1, Heather L. Smith1, Nicholas C. Verity2, Colin Molloy2, Helois Radford1, Adrian J. Butcher1, and Giovanna R. Mallucci1,*

  1. 1 Department of Clinical Neurosciences and UK Dementia Research Institute at the University of Cambridge, Island Research Building, Cambridge Biomedical Campus, Cambridge CB2 0AH, UK.
  2. 2 MRC Toxicology Unit at the University of Cambridge, Hodgkin Building, Leicester LE1 7HB, UK.

* Corresponding author. Email: gm522@cam.ac.uk

要約

小胞体ストレス応答(UPR)、とくにキナーゼPERKと翻訳開始因子eIF2αから成るシグナル伝達支流経路の慢性的活性化は、タンパク質ミスフォールディングに起因する多くの神経変性疾患の病理学的特徴である。UPRシグナル伝達のリン酸化eIF2αレベルでの部分的低下は、神経保護作用を示し、PERKキナーゼ活性の完全阻害によって生じる膵毒性を回避する。しかし、正常な細胞機能にきわめて重要な、統合的ストレス応答(integrated stress response:ISR)においては、UPR以外のストレス経路がリン酸化eIF2αに収束する。われわれは、PERKシグナル伝達の部分阻害が、より優れた治療選択肢になりうるかどうかを検討した。eIF2αのPERKを介するリン酸化には、eIF2αがPERKのキナーゼドメイン内の挿入ループに結合することが必要であり、PERKのキナーゼドメインはそれ自体が複数の部位でリン酸化される。われわれは、予想した通り、AktがPERKのThr799のリン酸化を仲介することを見出した。このリン酸化事象によって、eIF2αのPERKとの結合が弱まり、PERK活性およびより広範なISRとは独立して、下流のシグナル伝達が選択的に減弱した。Aktの低分子活性化剤によってThr799リン酸化を誘導すると、プリオン病のマウスモデルにおいて、PERKシグナル伝達が同様に低下し、ニューロンと動物の両方の生存率が上昇し、測定可能な膵毒性は認められなかった。したがって、PERKのThr799リン酸化を促進し、PERK-eIF2αシグナル伝達を部分的に抑制しながら、広範なISR阻害を回避することが、神経変性疾患に対する安全な治療法である可能性がある。

Citation: D. T. Hughes, M. Halliday, H. L. Smith, N. C. Verity, C. Molloy, H. Radford, A. J. Butcher, G. R. Mallucci, Targeting the kinase insert loop of PERK selectively modulates PERK signaling without systemic toxicity in mice. Sci. Signal. 13, eabb4749 (2020).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2020年8月11日号

Editors' Choice

PHD3なしで運動改善

Research Article

PERKのキナーゼ挿入ループを標的化するとマウスにおいて全身毒性を伴わずにPERKシグナル伝達が選択的に調節される

フィブロネクチンの酸化的架橋はプロテアーゼ耐性を付与し細胞移動を阻害する

最新のResearch Article記事

2026年09月01日号

ORAI Ca2+チャネルとSTIM1が神経血管カップリングにおいて毛細血管・細動脈間の伝達を駆動する

2026年08月25日号

BRAFの脊髄感覚シナプスへの動員は経シナプス的なNMDA受容体活性を増強することによって神経障害性疼痛を促進する

2026年08月18日号

腹側被蓋野におけるグルタミン酸-ドーパミン、非グルタミン酸-ドーパミン、およびグルタミン酸単独ニューロンの特性の違い

2026年08月11日号

多価不飽和脂肪酸のLRP5依存性輸送はナチュラルキラー細胞の免疫チェックポイントとして機能する

2026年08月04日号

アデノシン2A受容体はミクログリアによるエフェロサイトーシスを駆動して脳卒中後の白質修復と機能回復を加速する