増殖因子とSARS-CoV-2

Growth factors and SARS-CoV-2

Editor's Choice

Sci. Signal. 25 Aug 2020:
Vol. 13, Issue 646, eabe4450
DOI: 10.1126/scisignal.abe4450

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

K. Klann, D. Bojkova, G. Tascher, S. Ciesek, C. Münch, J. Cinatl, Growth factor receptor signaling inhibition prevents SARS-CoV-2 replication. Mol. Cell (2020). https://doi.org/10.1016/j.molcel.2020.08.006 Google Scholar

ホスホプロテオミクス解析から、増殖因子受容体シグナル伝達を遮断すると、SARS-CoVの複製が阻害されることが明らかになっている。

要約

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを引き起こしているウイルスである、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染の基礎にある分子機構をよりよく理解し、有効な治療法を開発できるようにすることが急務である。Klannらは、in vitroでSARS-CoV-2を感染させた結腸上皮細胞株のホスホプロテオミクス解析を行い、感染後24時間におけるリン酸化タンパク質の相対的存在量(偽感染細胞と比較)の変化を検討した。最初に、感染細胞に発現する6つのウイルスタンパク質のリン酸化部位が同定されたが、その多くは、カゼインキナーゼII(CK2)などのCMGCファミリーキナーゼの標的になる。タンパク質‐タンパク質同時制御解析では、SARS-CoV-2感染に影響を受けたリン酸化タンパク質の3つのクラスターが明らかになった。そのようなクラスターの1つには、増殖因子受容体EGFRおよびPDGFRによって活性化されるシグナル伝達経路のタンパク質が含まれた。著者らは、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)経路とマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路(いずれも増殖因子受容体の下流に位置する)を阻害する、臨床使用が承認された抗がん剤を試験し、2つの異なる細胞株において臨床的に適切な濃度でSARS-CoV-2の複製を阻害する、5つの薬剤を見出した。総合すると、これらのデータからは、ウイルス感染に影響を受けるシグナル伝達経路の解析に有用な情報源が提供されており、抗ウイルス薬として振り向けられるかどうかの判断を目的に、その他のSARS-CoV-2感染モデルでさらに検討すべき承認薬が示されている。

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