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微生物代謝産物が感染症を防ぐ

Microbial metabolite protects against infection

Editor's Choice

Sci. Signal. 29 Sep 2020:
Vol. 13, Issue 651, eabe9388
DOI: 10.1126/scisignal.abe9388

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA Email: avanhook@aaas.org

B. McDonald, A. Z. Zucoloto, I.-L. Yu, R. Burkhard, K. Brown, M. B. Geuking, K. D. McCoy, Programing of an intravascular immune firewall by the gut microbiota protects against pathogen dissemination during infection. Cell Host Microbe 28, 1-9 (2020). CrossRef PubMed Google Scholar

片利共生菌由来のD-乳酸が肝臓のクッパー細胞による病原体の捕獲と排除を促進する。

要約

ディスバイオシス(腸内菌共生バランス失調)は、播種性細菌感染症と敗血症に対する罹患率の増加と関連する。肝臓の脈管構造内に存在する肝常在性マクロファージであるクッパー細胞は、病原体から肝臓を保護しており、腸から門脈を通って肝臓へ直接送達される血液と最初に接触する肝臓細胞である。McDonaldらは、無菌(GF)飼育後または抗菌薬による処置後に蛍光標識黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を注射されたマウスは、通常菌叢定着マウスまたはノトバイオートマウス(既知の菌を定着させた無菌マウス)と比べて、肝臓での病原菌捕食数が少なく、肺への細菌播種が多く、死亡率が高いことを明らかにした。GFマウスのクッパー細胞数は正常であったが、通常菌叢定着マウスやノトバイオートマウスのクッパー細胞よりも細胞サイズが小さく、細菌捕食数が少なく、細菌を死滅させる効率が低かった。クッパー細胞による病原体の取り込みは細菌代謝産物D-乳酸に依存し、D-乳酸は通常菌叢定着マウスとノトバイオートマウスの腸内および門脈血液中にはきわめて豊富に存在したが、体循環中およびGFマウスでは欠乏していた。GFマウスにD-乳酸を補充するか、D-乳酸を産生する腸内片利共生菌を定着させると、門脈血液中のD-乳酸の存在量が回復し、クッパー細胞のサイズと病原体捕食数も回復した。特定の片利共生菌代謝産物によってディスバイオシス状態の生物が感染症から保護されることを実証することは、低分子がディスバイオシス関連疾患に治療的利益をもたらす可能性があるという意見を支持するものであり、このことは、ディスバイオシス状態のヒトで正常なマイクロバイオームの持続的な回復の成功が限られていることを考慮するとなおさら重要である。

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