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SARS-CoV-2 2′-O-メチルトランスフェラーゼの高分解能構造から構造に基づく阻害剤設計の戦略を明らかにする

High-resolution structures of the SARS-CoV-2 2′-O-methyltransferase reveal strategies for structure-based inhibitor design

Research Article

Sci. Signal. 29 Sep 2020:
Vol. 13, Issue 651, eabe1202
DOI: 10.1126/scisignal.abe1202

Monica Rosas-Lemus1,2,*, George Minasov1,2,*, Ludmilla Shuvalova1,2,*, Nicole L. Inniss1,2, Olga Kiryukhina1,2, Joseph Brunzelle3, and Karla J. F. Satchell1,2,†

  1. 1 Department of Microbiology-Immunology, Northwestern University, Feinberg School of Medicine, Chicago, IL 60611, USA.
  2. 2 Center for Structural Genomics of Infectious Diseases, Northwestern University, Feinberg School of Medicine, Chicago, IL 60611, USA.
  3. 3 Northwestern Synchrotron Research Center, Life Sciences Collaborative Access Team, Northwestern University, Argonne, IL 60439, USA.

† Corresponding author. Email: k-satchell@northwestern.edu

* These authors contributed equally to this work.

要約

世界的流行病COVID-19の原因であるウイルスSARS-CoV-2に特異的な抗ウイルス療法は、現在のところ存在しない。構造に基づく医薬品設計を促進するために、われわれは、SARS-CoV-2 nsp16-nsp10 2′-O-メチルトランスフェラーゼ複合体のX線結晶構造解析を実施した。この複合体はウイルスのCap-0 mRNAをメチル化し、ウイルスタンパク質の翻訳を改善するとともに、宿主免疫による検出を回避する。われわれは、メチル供与体であるS-アデノシルメチオニン(SAM)、反応生成物であるS-アデノシルホモシステイン(SAH)、またはSAHアナログであるシネファンギン(SFG)と結合したnsp16-nsp10ヘテロ二量体の構造を決定した。メチル化Cap-0アナログであるm7GpppAと、SAMまたはSAHとの複合体を形成したnsp16-nsp10の構造も解析した。これらの構造と、公表されている他のベータコロナウイルスに由来するnsp16の構造との比較解析により、m7GpppA結合ポケットで開構造および閉構造をとる可変性ループが明らかになった。いくつかの構造にある結合硫酸基から、リボヌクレオチド結合溝におけるリボ核酸骨格のリン酸の位置が示唆された。活性部位とは反対側のタンパク質の表面に、さらなるヌクレオチド結合部位が認められた。これらのさまざまな部位と保存された二量体界面は、抗ウイルス阻害剤の開発に利用できる可能性がある。

Citation: M. Rosas-Lemus, G. Minasov, L. Shuvalova, N. L. Inniss, O. Kiryukhina, J. Brunzelle, K. J. F. Satchell, High-resolution structures of the SARS-CoV-2 2′-O-methyltransferase reveal strategies for structure-based inhibitor design. Sci. Signal. 13, eabe1202 (2020).

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