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老化と自己免疫
Aging and autoimmunity
Science Signaling 20 Apr 2021:
Vol. 14, Issue 679, eabj0430
DOI: 10.1126/scisignal.abj0430
John F. Foley
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: jfoley@aaas.org
Y. Wang, Z. Fu, X. Li, Y. Liang, S. Pei, S. Hao, Q. Zhu, T. Yu, Y. Pei, J. Yuan, J. Ye, J. Fu, J. Xu, J. Hong, R. Yang, H. Hou, X. Huang, C. Peng, M. Zheng, Y. Xiao, Cytoplasmic DNA sensing by KU complex in aged CD4+ T cell potentiates T cell activation and aging-related autoimmune inflammation. Immunity 54, 632-647.e9 (2021).
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https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33667382/ [PubMed]
KU複合体による細胞質DNAセンシングは、CD4+ T細胞の活性化を促進し、老化による自己免疫に寄与する
要約
老化は、自己免疫疾患の発症リスク増加と関連している。若年者と比較して、高齢者は末梢でナイーブT細胞増殖増加を示す。さらに、老化は循環するDNA量の増加と相関しており、それは自己免疫にも関連する。Wangらは、老化したヒトおよびマウスのCD4+ T細胞で、DNAが細胞質に蓄積し、細胞の活性化と増殖が増強されることを示した。多発性硬化症のモデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)のマウスでは、老化したCD4+ T細胞を投与されたマウスの方が、若い細胞を投与されたマウスと比較して、疾患症状がより重症であった。CD4+ T細胞の細胞質DNAは、KU複合体により感知された。KU複合体は、DNA依存性プロテインキナーゼの触媒サブユニット(DNA-PKcs)とともに、核DNAの切断を修復する。他の状況で細胞質DNAを検出するcGAS-STING経路の構成要素の喪失は、CD4+ T細胞のDNA誘導性活性化または増殖に影響を与えなかった。DNAが誘導するDNA-PKcsの活性化は、キナーゼZAKの動員と活性化をもたらし、それが次にキナーゼAktを活性化し、細胞増殖を引き起こした。ZAK活性化を標的とすることは、in vitroでCD4+ T細胞のDNA依存性活性化を特異的に阻害した。著者らは、特異的ZAK阻害剤を開発し、それは、in vitroでDNA誘導性CD4+ T細胞増殖を遮断し、老齢マウスのEAE症状を改善した。合わせると、これらのデータは、KU複合体が老化CD4+ T細胞に蓄積されたDNAを感知し、キナーゼZAKを標的とすることが加齢関連自己免疫を治療する方法である可能性があることを示唆している。