• ホーム
  • ロイコトリエン依存性の脾臓-肝臓軸が、全身性炎症におけるTNFの産生を誘導する

ロイコトリエン依存性の脾臓-肝臓軸が、全身性炎症におけるTNFの産生を誘導する

A leukotriene-dependent spleen-liver axis drives TNF production in systemic inflammation

Research Article

Science Signaling 20 Apr 2021:
Vol. 14, Issue 679, eabb0969
DOI: 10.1126/scisignal.abb0969

Monique T. Fonseca1†, Eduardo H. Moretti1†, Lucas M. M. Marques2, Bianca F. Machado1, Camila F. Brito1, Jady T. Guedes1, Evilin N. Komegae1, Thayna S. Vieira3, William T. Festuccia3, Norberto P. Lopes2, Alexandre A. Steiner1*

  1. 1 Departamento de Imunologia, Instituto de Ciencias Biomedicas, Universidade de Sao Paulo, Sao Paulo, SP 05508, Brazil.
  2. 2 NPPNS, Departamento de Fisica e Quimica, Faculdade de Ciencias Farmaceuticas de Ribeirao Preto, Universidade de Sao Paulo, Ribeirao Preto, SP 14040, Brazil.
  3. 3 Departamento de Fisiologia e Biofisica, Instituto de Ciencias Biomedicas, Universidade de Sao Paulo, Sao Paulo, SP 05508, Brazil.

* Corresponding author. Email: asteiner@usp.br

† These authors contributed equally to this work.

要約

付帯的組織損傷を引き起こすことなく有効な宿主免疫を開始させるためには、炎症促進性サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF)が正確に制御される必要がある。本稿でわれわれは、リポ多糖(LPS)により誘導した全身性炎症のラットモデルにおいて、TNF産生が脾臓-肝臓軸により引き起こされたことを明らかにした。脾摘除術と肝切除術を組み合わせて施行し、サイトカインの分泌および発現を解析したところ、脾臓はTNFを産生するのみでなく、肝臓によるTNF分泌を亢進する因子も産生することが明らかにされた。この後者により生じるTNFは、循環血中に分泌されるTNFのほぼ半分を占めていた。われわれは質量分析に基づくリピドミクスを用いることで、この脾臓-肝臓軸における血液由来メッセンジャー候補としてロイコトリエンB4(LTB4)を同定した。LTB4 はin vivoの脾臓-肝臓間連絡のみならず、in vitroにおける脾臓のマクロファージとクッパー細胞間の体液性シグナル伝達にも不可欠であった。LPSは脾臓のマクロファージを刺激してLTB4を分泌させ、これがクッパー細胞を刺激し、LTB4受容体依存性にLPSに応答してより多くのTNFを分泌させた。これらの知見は、全身性炎症がどのようにして臓器間連絡のレベルで制御され得るのかを理解するための、枠組みを提供している。

Citation: M. T. Fonseca, E. H. Moretti, L. M. M. Marques, B. F. Machado, C. F. Brito, J. T. Guedes, E. N. Komegae, T. S. Vieira, W. T. Festuccia, N. P. Lopes, A. A. Steiner, A leukotriene-dependent spleen-liver axis drives TNF production in systemic inflammation. Sci. Signal. 14, eabb0969 (2021).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2021年4月20日号

Editors' Choice

老化と自己免疫

Research Article

ロイコトリエン依存性の脾臓-肝臓軸が、全身性炎症におけるTNFの産生を誘導する

CLIC1とCLIC4は内皮S1P受容体シグナル伝達を仲介してRac1とRhoAの活性および機能を促進する

最新のResearch Article記事

2025年03月04日号

アセチルトランスフェラーゼGCN5はミクログリア細胞でNF-κBサブユニットp65をアセチル化して活性化することによりマウスの神経炎症に寄与する

2025年02月25日号

グルタミン酸作動性のアルゴノート2がマウスにおいて神経血管ユニットの形成を促進する

2025年02月18日号

バソプレシン2型受容体が媒介する持続的Gαsシグナル伝達はリガンド依存性だがエンドサイトーシスとβ-アレスチンには依存しない

2025年02月18日号

持続的な染色体パッセンジャー複合体活性がヒト胚性がん細胞の多能性を保持する

2025年02月11日号

キナーゼLZKの阻害または分解を介するc-MYCおよび機能獲得型p53の標的化によりHNSCC腫瘍の増殖が抑制される