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ニューロテンシンによる熱産生の抑制

Throttling thermogenesis with neurotensin

Editor's Choice

Science Signaling 20 Jul 2021:
Vol. 14, Issue 692, eabl4916
DOI: 10.1126/scisignal.abl4916

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: wwong@aaas.org

J. Li, E. Li, R. S. Czepielewski, J. Chi, X. Guo, Y.-H. Han, D. Wang, L. Wang, B. Hu, B. Dawes, C. Jacobs, D. Tenen, S. J. Lin, B. Lee, D. Morris, A. Tobias, G. J. Randolph, P. Cohen, L. Tsai, E. D. Rosen, Neurotensin is an anti-thermogenic peptide produced by lymphatic endothelial cells. Cell Metab. 33, 1449-1465.e6 (2021).
Google Scholar

リンパ管内皮細胞はニューロテンシンを放出して褐色脂肪組織における熱産生を阻害している。

要約

リンパ管構造は、脂肪組織を含む組織からの過剰な体液の排出を可能にしている。Liらは、リンパ管内皮細胞から放出され、褐色脂肪組織における熱産生(脂肪酸を代謝して熱を産生するプロセス)を阻害する因子を同定した。全身のリンパ管内皮細胞は、ペプチドであるニューロテンシン(NTS)とニューロメジンNをコードするニューロテンシン遺伝子(Nts)を発現していた。単離した褐色脂肪組織のα1アドレナリン受容体を活性化すると、Ntsの発現および培地へのNTSの放出が増加した。低温で飼育されたマウスは温暖環境で飼育されていたマウスと比べ、脂肪組織のリンパ管内皮細胞におけるNtsの発現が低下していた。低温によって交感神経系からのノルエピネフリン放出が誘導され、これにより褐色脂肪におけるβ-アドレナリン受容体を介した熱産生が活性化される。著者らは、この経路がNts発現も低下させること明らかにした。褐色脂肪培養組織片にNTSを添加したとき、熱産生に重要なタンパク質であるUCP-1の存在量が減少した。同様にウイルスを用いてマウスにNTSを過剰発現させたとき、UCP-1の存在量が減少したのみならず、低温耐性およびエネルギー消費も低下した。一方、リンパ管内皮細胞におけるNTSの遺伝子欠損は、UCP-1の存在量を増加させ、低温耐性を亢進し、褐色脂肪組織中の脂質含量を減少させた。NTSは受容体NTSR2を介するERK1/2のリン酸化を亢進した。NTSR2阻害剤を投与されたマウスでは、ERK1/2のリン酸化、UCP-1存在量、低温耐性およびエネルギー消費が増強し、褐色脂肪組織の脂質含量が減少した。高脂肪食の給餌により肥満化したマウスでは、その後のNTSR2阻害剤投与によりさらなる体重増加および脂肪蓄積は減弱し、耐糖能およびインスリン抵抗性が改善した。このように、リンパ管内皮細胞においてNTSによるNTSR2活性化を阻害することは、褐色脂肪組織における熱産生を高める1つの戦略かもしれない。著者らは、in vivoで認められたこのような効果の一部には、Ntsの他の遺伝子産物であるニューロメジンが介在している可能性があると述べている。

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