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受容体とのインターフェース

Interfacing with a receptor

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
16 Nov 2021 Vol 14, Issue 709
DOI: 10.1126/scisignal.abn2358

JOHN F. FOLEY

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.

K. O. Alegre, N. Paknejad, M. Su, J.-S. Lou, J. Huang, K. D. Jordan, E. T. Eng, J. R. Meyerson, R. K. Hite, X.-Y. Huang, Structural basis and mechanism of activation of two different families of G proteins by the same GPCR. Nat. Struct. Mol. Biol. 28, 936-944 (2021).
CROSSREF  GOOGLE SCHOLAR

別個の構造的相互作用が1つのGPCRと2つの異なるGタンパク質の共役を決定づける

要約

β1アドレナリン受容体(β1-AR)は、心臓に豊富に存在するGタンパク質共役受容体(GPCR)であり、心疾患や高血圧に関与している。α、β、γサブユニットで構成されるヘテロ三量体Gタンパク質は、Gαサブユニットの素性に応じて4つのファミリーに分類される。リガンドと結合したβ1-ARがGαsタンパク質と共役した場合には、結果として二次メッセンジャーであるcAMPの細胞内濃度が上昇し、心拍数と心収縮性の増加が引き起こされる。ところが、活性化したβ1-ARがGαiタンパク質と共役した場合には、cAMPの生成に対して逆に作用し、その応答は心筋梗塞に関連する。Alegreらは、クライオ電子顕微鏡構造解析によってGαs、Gαi、キメラGαi/sタンパク質と複合体を形成した状態のβ1-ARの構造を決定し、機能解析によってβ1-ARがこれらの別個のGタンパク質と選択的に共役して活性化させる機構を決定した。GαsとGαiは、いずれも同様に、Gタンパク質の主要構成要素でありGPCRと相互作用すると考えられているC末端α5ヘリックスを介してβ1-ARと相互作用していた。しかし両者はそれぞれに異なる相互作用を呈し、その結果として、この2つのGαサブユニットは受容体に対して異なる立体構造をとっていた。β1-ARはGαsをGαiよりも効率的に活性化し、構造解析では、この共役特異性が受容体と2つの異なるGタンパク質との間で形成される3次元インターフェースの性質によって決定されることが示された。まとめると、これらの知見は、β1-ARと2つの異なるGタンパク質との共役を可能にする構造的基盤を決定するものであり、それによって、GPCRとGタンパク質の生理的機能について、より一般的な洞察を与えうるものである。

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2021年11月16日号

Editor's Choice

受容体とのインターフェース

Research Article

NADPHデュアルオキシダーゼDUOX1/DUOX2はNAADPを合成し、これがT細胞活性化におけるCa2+シグナル伝達に必要

甲状腺ホルモンシグナル伝達は転写因子ChREBPを介して肝臓の脂質生成を促進する

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