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ロドプシンシグナル伝達に光を当てる

Shining a light on rhodopsin signaling

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
19 Apr 2022 Vol 15, Issue 730
DOI: 10.1126/scisignal.abq5583

JOHN F. FOLEY

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: jfoley@aaas.org

S. Chen, T. Getter, D. Salom, D. Wu, D. Quetschlich, D. S. Chorev, K. Palczewski, C. V. Robinson, Capturing a rhodopsin receptor signalling cascade across a native membrane. Nature 604, 384-390 (2022).
CROSSREF  PUBMED  GOOGLE SCHOLAR

ロドプシンシグナル伝達のリアルタイムのモリタリングによってGPCR相互作用の調節における天然脂質の役割が明らかに

Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、幅広い刺激に応答してヘテロ三量体Gタンパク質とアレスチンを活性化し、下流のエフェクター分子の調節につなげる、細胞表面受容体である。GPCRは、すべてのFDA承認薬の約3分の1の標的になっている。GPCRとそのエフェクターの構造決定の進展は、人工脂質環境での受容体の研究と同様に、有効性と選択性がより高い薬物の開発に役立っている。Chenらは、光に応答し、その過程でオプシンに変換されるGPCRロドプシンが天然の膜内でリアルタイムにシグナルを送る様子と、ロドプシンシグナル伝達の相互作用を調節する際に脂質が果たす役割を特徴づけた。著者らは、暗順応したウシ網膜桿体外節のディスク膜から脂質小胞を形成させたあとに膜断片から質量分析計へとロドプシンを放出させる処理過程を開発した。これらの脂質断片には、ロドプシンの標的Gタンパク質であるトランスデューシン(Gt)と、セカンドメッセンジャーcGMPを加水分解するエフェクター酵素PDE6も内包されていた。著者らは、露光量を調節することによって、ロドプシンの光活性化とそのオプシンへの変換、ロドプシンとGtとの相互作用、GαtとPDE6の間の相互作用をリアルタイムでモニタリングした。この解析によって、天然膜のほうが人工膜よりもオプシンからロドプシンへの再生成の動態速度が遅いことと、その変換におけるホスファチジルコリン(PC)などの膜脂質の役割が明らかにされた。また著者らは、光活性化がGtからのGDP放出に及ぼす影響についてもリアルタイムでモニタリングした。GtからのGDP放出は、Gタンパク質の活性化と、その後のGαtとPDE6の間の相互作用を引き起こす。光活性化には、ロドプシン環境における不飽和PC脂質対飽和PC脂質の比の増大も付随したが、これが迅速なシグナル伝達に必要なロドプシンの立体構造変化を可能にしている可能性がある。天然膜内のこのシグナル伝達経路の3つの主要な構成要素をすべて捕捉し、それらの相互作用をリアルタイムでモニタリングすることによって、この研究はGPCRの活性化、エフェクターとの共役、再生成における脂質環境の重要性を浮き彫りにしている。このような手法は、創薬の努力を促進するものである。

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