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切断によって瀕死の細胞を生かし続ける

Cleaved to keep dying cells alive

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
10 May 2022 Vol 15, Issue 733
DOI: 10.1126/scisignal.abq8516

LESLIE K. FERRARELLI

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: lferrare@aaas.org

A. R. Cheratta, F. Thayyullathil, S. A. Hawley, F. A. Ross, A. Atrih, D. J. Lamont, S. Pallichankandy, K. Subburayan, A. Alakkal, R. Rezgui, A. Gray, D. G. Hardie, S. Galadari, Caspase cleavage and nuclear retention of the energy sensor AMPK-α1 during apoptosis. Cell Rep. 39, 110761 (2022).
CROSSREF  PUBMED  GOOGLE SCHOLAR

DNA損傷時にカスパーゼ-3はキナーゼAMPKを核に送り、アポトーシスの進行を阻止する。

キナーゼAMPKはエネルギーセンサーとして働き、エネルギーが低いときには異化経路を活性化して、細胞内のエネルギー恒常性を回復させる。AMPKはDNA損傷によっても活性化されるが、この活性化はエネルギー感知機能を介するものではない。Cherattaらは、この機構に、細胞死の初期段階におけるカスパーゼ依存性切断が関与することを見出した。Jurkat T細胞において、DNA損傷性アルカロイドでの処理により、カスパーゼ-3が活性化され、アポトーシスが開始された。カスパーゼ-3の標的の1つは、AMPKアイソフォームのAMPK-α1であった。カスパーゼ-3はAMPK-α1をアイソフォーム特異的な残基であるAsp529で切断し、それによってC末端から核外移行シグナルを取り除いた。残りのN末端産物であるcl-AMPK-α1は、結果として核内に蓄積した。cl-AMPK-α1はまた、リン酸化とアロステリーを介する従来の活性化能力を保持していた。HeLaがん細胞では、DNA損傷剤のエトポシドによって、アポトーシス時のAMPK-α1切断が誘導されるとともに、核におけるCaMKK2によるAMPK-α1の活性化リン酸化が誘導された。これまでの研究では、CaMKK2を介するAMPKリン酸化が、細胞生存、G1期細胞周期停止(エトポシドが作用する複製期の開始を阻止する)、DNA複製ストレス時のフォーク安定性を促進すること、さらに、核内AMPKが、DNA損傷に対する応答に関与するタンパク質を活性化することが示されていた。Cherattaらの結果は、細胞が継続的に受けるストレスであるDNA損傷後の、細胞生存におけるAMPKの役割に関する機構を明らかにしている。その一方で、現在のがん治療法や提案されているがん治療法の多くはDNA損傷を通じて効果を発揮することを考えると、これらの結果は薬剤耐性腫瘍とそれらの治療に適用できる可能性がある。

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