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アレルギー性喘息におけるマクロファージによる抗原提示

Macrophages present antigens in allergic asthma

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
11 Oct 2022 Vol 15, Issue 755
DOI: 10.1126/scisignal.adf2043

ANNALISA M. VANHOOK

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: avanhook@aaas.org

X.-Z. Tang, L. S. M. Kreuk, C. Cho, R. Metzger, C. D. C. Allen, Bronchus-associated macrophages efficiently capture and present soluble inhaled antigens and are capable of local Th2 cell activation. eLife11, e63296 (2022).

マウスのアレルギー性気道炎症では常在マクロファージが抗原の捕捉と提示を媒介している

アレルギー性喘息は、吸入アレルゲンがトリガーとなる気道のT細胞性炎症によって引き起こされる。肺胞に到達したアレルゲン粒子の捕捉および気道への移行には樹状細胞(DC)が関与することが示されており、DCはそこで2型ヘルパーT(TH2)細胞に抗原を提示して炎症を誘導する。Tangらは、気管支気道上皮の直下に位置し、可溶性抗原を捕捉して局所的にTH2細胞に提示しているマクロファージの集団を同定した。オボアルブミン(OVA)誘導性喘息モデルにおいて、気道粘液に送達された可溶性蛍光標識OVAペプチドは、肺胞内のマクロファージならびに気管支内のDCとマクロファージによって取り込まれた。これらの気管支局在マクロファージ(BAM)は、DCおよび肺胞マクロファージとは転写レベルで異なっていた。BAMは気道内腔から種々の可溶性蛍光標識分子を取り込んだが、低分子量のものを取り込む傾向があり、ビーズは取り込まなかった。このことは、これらの細胞が、内腔に突起を伸ばして分子を取り込むのではなく、拡散している分子または上皮バリアを介して輸送された分子を取り込んでいることを示唆していた。BAMはin vivoにおいて外来ペプチドを処理・提示して、肺内に留まり、そこで突起の伸長と退縮をダイナミックに行っていた。対照的に、抗原を取り込んだDCは流入領域リンパ節に遊走した。マウスから単離した、OVAを取り込んだBAMは、OVAに反応するよう遺伝子操作したT細胞(OT-II細胞)の初代培養細胞をin vitroで活性化した。また、抗原を取り込んだBAMはin vivoにおいて、養子細胞移植したOT-IIと緊密に相互作用して、これを活性化した。BAMを介した抗原提示を阻害することが、アレルギー性喘息に影響するか否かはまだ検討されていないが、以上の知見は、これらの細胞がアレルゲン誘導性気道炎症に直接的な役割を果たしている可能性を示唆している。

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2022年10月11日号

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アレルギー性喘息におけるマクロファージによる抗原提示

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