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光に反応して視細胞で産生される内在性カンナビノイドがショウジョウバエ(Drosophila)のTRPチャネルを活性化する

Endocannabinoids produced in photoreceptor cells in response to light activate Drosophila TRP channels

Research Article

SCIENCE SIGNALING
11 Oct 2022 Vol 15, Issue 755
DOI: 10.1126/scisignal.abl6179

Takaaki Sokabe1,2,3,*, Heather B. Bradshaw4, Makoto Tominaga2,3, Emma Leishman4, Avinash Chandel1, Craig Montell1,*

  1. 1 Department of Molecular, Cellular, and Developmental Biology and the Neuroscience Research Institute, University of California, Santa Barbara, CA 93106, USA.
  2. 2 Division of Cell Signaling, National Institute for Physiological Sciences, and Thermal Biology Group, Exploratory Research Center on Life and Living Systems (ExCELLS), National Institutes of Natural Sciences, Okazaki, Aichi 444-8787, Japan.
  3. 3 Department of Physiological Sciences, SOKENDAI, Okazaki, Aichi 444-8787, Japan.
  4. 4 Department of Psychological and Brain Sciences, Indiana University, Bloomington, IN 47405, USA.

* Corresponding author. Email: sokabe@nips.ac.jp (T.S.); cmontell@ucsb.edu (C.M.)

内在性カンナビノイドが道を照らす

ショウジョウバエ(Drosophila)の眼は、光伝達のモデル系である。光受容体に光があたると、ホスホリパーゼC(PLC)のNORPAを誘導するシグナル伝達経路が刺激され、カチオンチャネルのTRPとTRPLを介したCa2+流入を促進する脂質が産生される。Sokabeらは、光に反応して産生され、TRPとTRPLを活性化する内在性カンナビノイドを同定した。NORPAに加えて、光誘導性の内在性カンナビノイド合成には、ジアシルグリセロールリパーゼのINAEが必要であった。内在性カンナビノイドの1つは、近縁の哺乳類チャネルであるTRPC5とTRPC6も活性化した。ショウジョウバエには哺乳類カンナビノイド受容体のホモログがないことから、著者らは、TRPとTRPLがこのモデル生物における内在性カンナビノイドの内在性受容体であることを提唱している。

要約

ショウジョウバエの光伝達は、一過性受容器電位(TRP)カチオンチャネルの活性化に至るシグナル伝達カスケードのモデルである。TRPおよびTRPLは、ロドプシンの光刺激とGαqおよびホスホリパーゼCβ(PLC)の結合によって調節される古典的TRP(TRPC)チャネルである。PLCの下流で産生される脂質代謝物が、視細胞におけるTRPCチャネルの活性化には不可欠である。われわれは、PLC刺激に続いて産生され、チャネルの活性化に寄与する主要な脂質を同定することを目的とした。本研究では、遺伝学、脂質分析、Ca2+イメージングを用いて、光が、in vivoで豊富な内在性カンナビノイドである2-リノレオイルグリセロール(2-LG)の量を増加させることを見出した。2-LG量の増加は、それぞれnorpAinaEによってコードされる、PLCとジアシルグリセロールリパーゼに依存した。この内在性カンナビノイドは、異種発現系および複眼から分離した個眼において、TRPC依存性のCa2+流入を促進した。さらに、2-LGと機械的刺激によって協調的に、個眼のTRPCチャネルが活性化された。われわれは、2-LGが、視細胞においてTRPCチャネルを活性化する、生理学的に重要な内在性カンナビノイドであることを提唱する。

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