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JAGGED1のC2ドメインにあるN-グリカンはNotch活性化に重要である

An N-glycan on the C2 domain of JAGGED1 is important for Notch activation

Research Article

SCIENCE SIGNALING
11 Oct 2022 Vol 15, Issue 755
DOI: 10.1126/scisignal.abo3507

Yao Meng1,†, Sami Sanlidag2,3, Sacha A. Jensen1,‡, Sean A. Burnap4, Weston B. Struwe4, Andreas H. Larsen1,§, Xinyi Feng1, Shruti Mittal1, Mark S. P. Sansom1, Cecilia Sahlgren2,3,5,6, Penny A. Handford1,*

  1. 1 Department of Biochemistry, University of Oxford, Oxford, OX1 3QU, UK.
  2. 2 Faculty for Science and Engineering, Biosciences, Åbo Akademi University, Turku, Finland.
  3. 3 Turku Bioscience Centre, Åbo Akademi University and University of Turku, Turku, Finland.
  4. 4 Kavli Institute for NanoScience Discovery and Physical and Theoretical Chemistry Laboratory, Department of Chemistry, University of Oxford, Oxford, UK.
  5. 5 Department of Biomedical Engineering, Eindhoven University of Technology, Eindhoven, Netherlands.
  6. 6 Institute for Complex Molecular Systems, Eindhoven University of Technology, Eindhoven, Netherlands.

* Corresponding author. Email: penny.handford@bioch.ox.ac.uk

† Present address: Institute of Medicinal Biotechnology, Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical College, Beijing, China.

‡ Present address: College of Public Health, Medical and Veterinary Sciences, James Cook University, Townsville, Queensland, Australia.

§ Present address: Department of Neuroscience, University of Copenhagen, Copenhagen, Denmark.

Jaggedによる糖化で促進されるNotch活性化

Jagged/SerrateファミリーおよびDeltaファミリーのリガンドによる膜貫通受容体Notchの活性化は、多くの状況で細胞の運命を特定する。これらのリガンドのリン脂質結合C2ドメインは、細胞膜とNotchの両方との相互作用部位を提供することによって、Notch活性化に寄与する。Mengらは、ヒトJagged1(JAG1)による効率的なリン脂質結合とNotch活性化には、Jagged/Serrateリガンドのみで高度に保存されている部位にあるC2ドメインの膜相互作用面のN-グリコシル化が必要であることを発見した。このドメインのグリコシル化を抑止するがん関連変異や遺伝子操作変異、あるいは酵素による糖鎖の除去によって、レポーター細胞においてJAG1に媒介されるNotch活性化が減少し、このような変異の影響は、in vitro細胞分化アッセイで再現された。分子動力学シミュレーションでは、N-グリカンが細胞膜のJAG1の配向性を促進してNotchとの相互作用に備えさせるモデルが示された。このように、JAG1のグリコシル化がNotchの活性化を最適化する。

要約

膜貫通リガンドのJagged/SerrateファミリーとDeltaファミリーの標準的なメンバーには、細胞外N末端にリン酸脂質に結合するC2ドメインがあり、Notch受容体の最適な活性化に必要である。腫瘍では、ヒトJAGGED1(JAG1)のC2ドメインでアミノ置換を引き起こす体細胞変異が同定されている。われわれは、Nグリコシル化部位に影響する変異がNotchを活性化させるリガンドの能力を低下させることを、レポーター細胞アッセイで明らかにした。C2ドメインに位置するこのグリコシル化部位は、Jagged/Serrateファミリーでは保存されているが、Deltaファミリーにはない。JAG1アミノ末端の部位特異的糖鎖解析では、レポーター細胞アッセイでNotchが完全に活性化されるには、この部位が複合型N-グリカンまたは高マンノースN-グリカンのいずれかに占有されている必要があることが示された。Notchとの結合を欠損させたJAG1変異体の場合と同様に、グリコシル化部位の変異導入またはエンドグリコシダーゼ処理のいずれかによってN-グリカンを除去した場合も、受容体の活性化は減少した。Notchシグナル伝達依存性の血管平滑筋細胞分化アッセイでも、N-グリカン変異体は受容体活性化を減少させた。C2ドメインのN-グリカンを欠損させると、C2ドメイン全体を欠損させた場合と同程度まで、リポソームへのJAG1の結合が減少した。分子動力学シミュレーションでは、N-グリカンが存在すると細胞膜に対するJAG1の配向性が限定されることによってNotchとの結合が促進されることが示された。これらのデータは、Notchの完全な活性化のために細胞膜のJaggedを配向させるのに必要な、脂質結合型立体構造を促進するときにN-グリカンが担うきわめて重要な役割と合致する。

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