杯細胞のストレス管理

Goblet cell stress management

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
18 Apr 2023 Vol 16, Issue 781
[DOI: 10.1126/scisignal.adi2176]

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: avanhook@aaas.org

M. Naama, S. Telpaz, A. Awad, S. Ben-Simon, S. Harshuk-Shabso, S. Modilevsky, E. Rubin, J. Sawaed, L. Zelik, M. Zigdon, N. Asulin, S. Turjeman, M. Werbner, S. Wongkuna, R. Feeney, B. O. Schroeder, A. Nyska, M. Nuriel-Ohayon, S. Bel, Autophagy controls mucus secretion from intestinal goblet cells by alleviating ER stress. Cell Host Microbe 31, 433-446.e4 (2023).

M. J. Grey, Stressing out over mucus secretion. Cell Host Microbe 31, 327-328 (2023).

オートファジーは小胞体ストレスを軽減することにより杯細胞の粘液分泌能を増強する

プロのタンパク質分泌細胞は、小胞体(ER)ストレスに特に敏感であり、タンパク質恒常性を維持するために小胞体ストレス応答(UPR)に依存している。粘液の主要成分であるムチンを分泌する杯細胞は、シャペロン、小胞体ストレスセンサーIRE1β、およびUPRに関連する他のタンパク質をコードする遺伝子を自然に高発現している(Greyによる解説を参照)。オートファジーも、多くの細胞型で小胞体ストレスの緩和に寄与し、杯細胞の通常機能に必要である。Naamaらは、オートファジー促進タンパク質Beclin1の構成的活性化型をもつノックインマウスは、結腸粘液と腸バリア機能を増加させ、結腸のERストレスの転写マーカーを減少させ、化学的に誘発された大腸炎と感染による大腸炎の両方から保護されることを発見した。以前の報告と一致して、結腸粘液は、オートファジーが損なわれたマウスでは量が減少するか、存在しなかった。野生型マウスをUPRの薬理学的活性化因子またはタンパク質を安定化させる胆汁酸であるタウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)で処理しても、結腸粘液の量が増加した。TUDCAは、無菌マウス、パターン認識受容体Nod2を欠くマウス、または抗生物質で処理したマウスの結腸外植片では粘液分泌を増強しなかった。これらの知見は、オートファジーが杯細胞の小胞体ストレス管理に寄与すること、また小胞体ストレスの軽減が腸共生生物にとって杯細胞の内因性粘液産生能力を増強するために重要である可能性を示している。

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