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ヒト粘膜関連インバリアントT細胞の増殖にはMYC-SLC7A5‐解糖系の代謝軸が必要

The proliferation of human mucosal-associated invariant T cells requires a MYC-SLC7A5-glycolysis metabolic axis

Research Article

SCIENCE SIGNALING
18 Apr 2023 Vol 16, Issue 781
[DOI: 10.1126/scisignal.abo2709]

Nidhi Kedia-Mehta1, †, Marta M. Pisarska1, 2, †, Christina Rollings3, Chloe O'Neill2, Conor De Barra2, Cathriona Foley4, Nicole A. W. Wood1, 2, Neil Wrigley-Kelly5, 6, Natacha Veerapen7, Gurdyal Besra7, Ronan Bergin2, Nicholas Jones8, Donal O'Shea2, 5, 6, Linda V. Sinclair3, *, Andrew E. Hogan1, 2, *

  1. 1Kathleen Lonsdale Institute for Human Health Research, Maynooth University, Maynooth, Co Kildare, Ireland.
  2. 2National Children's Research Centre, Dublin 12, Ireland.
  3. 3Division of Cell Signaling and Immunology, School of Life Sciences, University of Dundee, Dundee, UK.
  4. 4Department of Biological Sciences, Munster Technological University, Cork, Ireland.
  5. 5St. Vincent's University Hospital, Dublin 4, Ireland.
  6. 6University College Dublin, Dublin 4, Ireland.
  7. 7School of Biosciences, University of Birmingham, Birmingham, UK.
  8. 8Institute of Life Science, Swansea University Medical School, Swansea, UK.

† These authors contributed equally to this work.

* Corresponding author. Email: andrew.e.hogan@mu.ie (A.E.H.); l.v.sinclair@dundee.ac.uk (L.V.S.)

自然免疫T細胞の代謝のマスター制御因子

粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞は、脂肪、腸管および肝組織に豊富に存在して細菌代謝物を認識する、1種の自然免疫様T細胞である。活性化されたMAIT細胞は増殖してサイトカインを産生し、宿主防御を促進する。Kedia-Mehtaらは、MAITの増殖が、アミノ酸輸送および解糖系に係わるMYC関連経路に依存していることを明らかにした。さらに、肥満患者由来のMAIT細胞は、機能およびこれら経路との関係が破綻していた。これらの知見は、MAIT細胞では通常型T細胞で認められる古典的代謝経路が働いていることを示しており、このことは、MAIT細胞をベースとした治療の開発および肥満の研究に有用である可能性がある。—AEB

要約

粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞は、細菌リガンドを認識する自然免疫T細胞の豊富な集団であり、細菌性およびウイルス性病原体に対する宿主の防御において重要な役割を果たしている。活性化されたMAIT細胞は増殖し、サイトカインなどエフェクター分子の産生が増大する。この研究でわれわれは、刺激を受けたMAIT細胞では、主要な代謝制御・転写因子であるMYCのmRNAおよびタンパク質双方の存在量が増大していることを見いだした。われわれは定量的質量分析を用い、アミノ酸輸送と解糖系といういずれもMAIT細胞の増殖に必要な、MYCにより調節される2つの代謝経路が活性化されることを確認した。最後に、肥満患者から単離したMAIT細胞では、活性化時のMYC mRNAの存在量が減少していること、そしてこれはMAIT細胞の増殖および機能的反応の欠損と関連していることを明らかにした。合わせるとこれらのデータは、MAIT細胞の増殖にはMYCにより調節される代謝が重要であることを明らかにし、肥満におけるMAIT細胞の機能欠損の分子基盤に関するさらなる洞察を提示している。

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