未来へのプラーク

Plaque to the future

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SCIENCE SIGNALING
24 Sep 2024 Vol 17, Issue 855
[DOI: 10.1126/scisignal.adt2301]

Amy E. Baek

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: abaek@aaas.org

M. Takaoka, X. Zhao, H. Y. Lim, C. G. Magnussen, O. Ang, N. Suffee, P. R. Schrank, W. S. Ong, D. Tsiantoulas, F. Sommer, S. K. Mohanta, J. Harrison, Y. Meng, L. Laurans, F. Wu, Y. Lu, L. Masters, S. A. Newland, L. Denti, M. Hong, M. Chajadine, M. Juonala, J. S. Koskinen, M. Kähönen, K. Pahkala, S. P. Rovio, J. Mykkänen, R. Thomson, T. Kaisho, A. J. R. Habenicht, M. Clement, A. Tedgui, H. Ait-Oufella, T. X. Zhao, M. Nus, C. Ruhrberg, S. Taleb, J. W. Williams, O. T. Raitakari, V. Angeli, Z. Mallat, Early intermittent hyperlipidaemia alters tissue macrophages to fuel atherosclerosis. Nature, doi.org/10.1038/s41586-024-07993-x (2024).

コレステロールの早期曝露は、常在様動脈マクロファージへの表現型変化を介して後のアテローム性動脈硬化症を促進する。

アテローム性動脈硬化症の動物モデルでは、一定期間の高脂血症状態を誘導した後にプラーク沈着を分析する。これらのモデルは、中年期以降に発症する高脂血症の影響を扱うものであるが、生涯のアテローム性動脈硬化症発症をモデル化するには不十分である。Takaokaらは、生涯にわたる累積的なコレステロール曝露を考慮した、早期間欠性高脂血症モデルを作製した。低比重リポタンパク質(LDL)受容体を欠損したマウス(Ldlr-/-マウス)に、高コレステロールの西洋食を6週間連続して(cWD)、または16週間にわたり間欠的に生涯合計6週間分の食餌として(iWD)与えた。全体のコレステロール曝露は2群間で同様であるが、iWD群ではcWDマウスと比較してプラークが相対的に大きかった。iWDマウスの病変は、cWDマウスの病変と比較して、より高い炎症促進性状態にあることが特徴であった。標識した常在性動脈マクロファージの運命マッピングにより、iWDマウスにおいて、大動脈内膜常在性マクロファージ(MacAIR)数の相対的減少が認められ、同時に非標識の単球由来マクロファージ集団が増加していた。リンパ管内皮ヒアルロン酸受容体1(LYVE1)陽性の常在性動脈マクロファージの存在量は、動脈硬化プラークの経時的な重症度と逆相関を示した。Apoe-/-マウスにおいてLYVE1陽性マクロファージを除去すると、プラークサイズおよび壊死性コアの増加が認められたが、血漿コレステロール値は同程度であった。本研究は、高脂血症の早期曝露の影響を明らかにし、アテローム性動脈硬化症の発症をモデル化するための代替的方法を提示している。

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