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ProNGFはp75NTRとアミロイド前駆体タンパク質の誘導を介して前脳基底核ニューロンの逆行性軸索変性を引き起こす

ProNGF elicits retrograde axonal degeneration of basal forebrain neurons through p75NTR and induction of amyloid precursor protein

Research Article

SCIENCE SIGNALING
24 Sep 2024 Vol 17, Issue 855
[DOI: 10.1126/scisignal.adn2616]

Srestha Dasgupta1, Mansi A. Pandya1, Juan P. Zanin1, Tong Liu2, Qian Sun2, Hong Li2, Wilma J. Friedman1, *

  1. 1 Department of Biological Sciences, Rutgers University, Newark, NJ 07102, USA.
  2. 2 New Jersey Medical School, Medical Science Building, 185 South Orange Avenue, Newark, NJ 07103, USA.
  3. * Corresponding author. Email: wilmaf@newark.rutgers.edu

Editor's summary

ニューロンの成長と生存は神経栄養因子によって支えられている。しかしながら、神経栄養因子の未成熟型(プロニューロトロフィンと呼ばれる)の増加は神経変性と関連する。Dasguptaらは、軸索におけるプロニューロトロフィンproNGFによるシグナル伝達が前脳基底核ニューロンの逆行性変性を誘発することを発見した。軸索から細胞体へのこの変性は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の局所的タンパク質合成、軸索から細胞体への小胞輸送、およびキナーゼJNKの活性化により媒介された。この発見は、神経変性疾患関連タンパク質であるAPPが前脳基底核ニューロン消失に関わる軸索のメカニズムに関与していることを示唆する。—Leslie K. Ferrarelli

要約

前脳基底核コリン作動性ニューロン(BFCN)は、脳の複数の領域に長い投射を延ばして認知機能を調節する。BFCNの変性は、加齢、脳損傷後、および神経変性疾患で見られる。大脳皮質における神経成長因子の未成熟なプロフォーム(proNGF)量の増加は、proNGF受容体p75NTRの活性化を介してBFCNの逆行性変性を引き起こす。ここでわれわれは、軸索末端で開始され、proNGF誘導性の逆行性変性を媒介するシグナル伝達カスケードを調べた。軸索末端から始まったproNGF誘導性変性は、軸索における局所的なタンパク質合成と逆行性輸送によって媒介されることを発見した。軸索での新生プロテオーム解析により、軸索末端でのproNGF刺激が軸索内の多数のタンパク質の合成を誘発することが明らかになり、経路解析により、培養BFCNおよびマウスにおいてアミロイド前駆体タンパク質(APP)が重要な上流調節因子であることが示された。われわれの知見は、BFCN軸索変性とproNGFにより誘発される細胞死を媒介するAPPの機能的役割を明らかにする。

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