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一酸化窒素
iNOSなしでホッとする2つの方法

Nitric Oxide
Two Ways to Breathe Easier Without iNOS

Editor's Choice

Sci. Signal., 18 October 2011
Vol. 4, Issue 195, p. ec288
[DOI: 10.1126/scisignal.4195ec288]

Elizabeth M. Adler

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

M. Seimetz, N. Parajuli, A. Pichl, F. Veit, G. Kwapiszewska, F. C. Weisel, K. Milger, B. Egemnazarov, A. Turowska, B. Fuchs, S. Nikam, M. Roth, A. Sydykov, T. Medebach, W. Klepetko, P. Jaksch, R. Dumitrascu, H. Garn, R. Voswinckel, S. Kostin, W. Seeger, R. T. Schermuly, F. Grimminger, H. A. Ghofrani, N. Weissmann, Inducible NOS inhibition reverses tobacco-smoke-induced emphysema and pulmonary hypertension in mice. Cell 147, 293–305 (2011). [Online Journal]

C. Nathan, Is iNOS beginning to smoke? Cell 147, 257–258 (2011). [Online Journal]

慢性気管支炎と肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、タバコの煙や大気汚染物質への曝露によって生じ、肺移植以外では治癒不能であり、死因の第一位となっている(Nathan発表文献参照)。Seimetzらは、タバコの煙に曝露されたマウスが、6ヵ月後に肺気腫を、さらに3ヵ月以内には(COPDに伴うことが多い)肺高血圧症(PH)を発症することを確認した。免疫蛍光法によって、3ヵ月後および8ヵ月後には、肺血管内に誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の存在量が増大していることが明らかになった。さらに、この増大は肺組織をホモジェナイズしてウェスタンブロット解析を行なうことによって確認された。一方、8ヵ月後には、別のNOSアイソフォーム(内皮細胞NOS[eNOS])の量が減少していることが明らかになった。iNOS欠損(iNOS–/–)マウスは、eNOS欠損マウスとは異なり、喫煙誘導性の肺気腫や肺高血圧症に対して抵抗性であった。タバコの煙への曝露に平行してiNOS阻害薬L-NIL[N6-(1-イミノエチル)-L-リジン]を投与すると、肺気腫と肺高血圧症から保護された。実際に、タバコの煙への曝露を8ヵ月間行ったのちにL-NIL治療を開始して3ヵ月すると、肺気腫と肺高血圧症が改善した。キメラマウス[野生型マウスにiNOS–/–マウスの骨髄を移植したもの、あるいはiNOS–/–マウスに野生型骨髄を移植したもの]を解析したところ、肺気腫の病因は肺高血圧症の病因とは異なることが示唆された。すなわち、野生型骨髄を移植されたiNOS–/–マウスは肺気腫から保護されたのに対して、iNOS–/–マウスの骨髄が移植された野生型マウスは肺高血圧症から保護された。一酸化窒素はスーパーオキシドと反応してペルオキシ亜硝酸を生成するが、このペルオキシ亜硝酸はチロシン残基と反応してニトロチロシンを生成することがある。ウェスタンブロット解析によって、タバコの煙への曝露は、野生型マウスとeNOS–/–マウスの肺組織においてニトロチロシンを増大させるのに対して、iNOS–/–マウスでは増大させないこと、およびこの増大はL-NILによって抑制害されることが示された。末期COPD患者の肺組織を解析したところ、肺の構造、iNOS、eNOSおよびニトロチロシンの変化は、マウスモデルと類似していることが明らかになった。そこで著者らは、別個の細胞種に関連するiNOSが、COPDと肺高血圧症の発症において重要な役割を果たしており、その抑制が治療上意味をもつかもしれないと結論付けている。

E. M. Adler, Two Ways to Breathe Easier Without iNOS. Sci. Signal. 4, ec288 (2011).

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2011年10月18日号

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