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ITAMはどのようにしてシグナル伝達を抑制するのか
How ITAMs Inhibit Signaling
Sci. Signal., 19 April 2011
Vol. 4, Issue 169, p.pe20
[DOI: 10.1126/scisignal.2001917]
Lionel B. Ivashkiv*
Arthritis and Tissue Degeneration Program, Hospital for Special Surgery, Immunology and Microbial Pathogenesis Program, Weill Cornell Graduate School of Medical Sciences, 535 East 70th Street, New York, NY 10021, USA.
* E-mail, ivashkivl@hss.edu
要約:免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)は、免疫細胞を活性化する複数の受容体によって用いられる。しかし、奇妙なことに、ITAM関連受容体は抑制作用を有する可能性がある。この抑制作用は炎症応答の調節に関係があるが、抑制性シグナル伝達の機構は十分にはわかっていない。新たな研究報告では、ITAM関連免疫グロブリンA受容体FcαRIの低親和性の連結(少数のFcαRIの一過性の結合)によって、FcαRIと、FcαRIに結合している抑制性のSrc相同2(SH2)ドメイン含有ホスファターゼ-1(SHP-1)が、膜脂質ラフトに移行することが示されている。これに続いて、活性化受容体が、連結することによってFcαRIおよびSHP-1と共局在し、インヒビソーム(inhibisome)と呼ばれる抑制性の細胞内領域へと輸送される。このように、ITAM抑制性シグナルは、ラフトの活性化機能を破壊して、受容体の超分子ドメインへの取込みを促進する。このドメインで、シグナル伝達分子がSHP-1によって不活性化される。
L. B. Ivashkiv, How ITAMs Inhibit Signaling. Sci. Signal. 4, pe20 (2011).