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抑制性ITAMシグナル伝達は、ホスファターゼSHP-1を用いて活性化受容体を捕らえ、極性を有する「インヒビソーム(Inhibisome)」クラスターを形成する

Inhibitory ITAM Signaling Traps Activating Receptors with the Phosphatase SHP-1 to Form Polarized "Inhibisome" Clusters

Research Article

Sci. Signal., 19 April 2011
Vol. 4, Issue 169, p. ra24
[DOI: 10.1126/scisignal.2001309]

Séverine Pfirsch-Maisonnas1,2, Meryem Aloulou1,2*, Ting Xu1,2*, Julien Claver1,2, Yutaka Kanamaru1,2, Meetu Tiwari1,2, Pierre Launay1,2, Renato C. Monteiro1,2*†, and Ulrich Blank1,2*†

1 INSERM U699, F-75018 Paris, France.
2 Faculté de Médecine, Université Paris Diderot, Sorbonne Paris Cité, Renal Pathology, Receptors and Inflammation, UMR-S 699, F-75018 Paris, France.

* These authors contributed equally to this work.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: ulrich.blank@inserm.fr (U.B.);renato.monteiro@inserm.fr (R.C.M.)

要約:免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を有する受容体が、他の受容体によるシグナル伝達を活性化するのではなく抑制する能力は、免疫恒常性の調節機構である。しかし、抑制性ITAM(ITAMi)受容体シグナル伝達、およびITAMに動員されるSrc相同2(SH2)ドメイン含有ホスファターゼ-1(SHP-1)が、関連する活性化受容体とともに凝集することなく、どのようにして複数の異種活性化反応を標的にするのかはまだわかっていない。今回われわれは、単量体のリガンドがI型免疫グロブリンA(IgA)Fc受容体(FcαRI)に結合することで始動されるITAMiシグナル伝達によって、FcαRIが異種活性化受容体、シグナル伝達エフェクター、および抑制性ホスファターゼSHP-1とともに、「インヒビソーム(inhibisome)」と呼ばれる極性を有する細胞内クラスターへと隔離されることを見出した。インヒビソームの形成に先立って、FcαRIとSHP-1が脂質ラフトへと動員された。このような同時隔離にはSHP-1に依存するアクチンの脱重合が必要であり、インヒビソームの形成はSHP-1のノックダウンやアクチン脱重合薬によって消失した。このように、ITAMi含有受容体が、細胞内シグナル伝達に関連する領域である脂質ラフトへSHP-1とアクチン脱重合に依存して、時空間的に区画化されることは、ITAMiを介する抑制性シグナルの統合においてきわめて重要なイベントである。

S. Pfirsch-Maisonnas, M. Aloulou, T. Xu, J. Claver, Y. Kanamaru, M. Tiwari, P. Launay, R. C. Monteiro, U. Blank, Inhibitory ITAM Signaling Traps Activating Receptors with the Phosphatase SHP-1 to Form Polarized "Inhibisome" Clusters. Sci. Signal. 4, ra24 (2011).

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