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ERKが転写リプレッサーBlimp-1の発現とその後の形質細胞の分化を誘導する

ERKs Induce Expression of the Transcriptional Repressor Blimp-1 and Subsequent Plasma Cell Differentiation

Research Article

Sci. Signal., 19 April 2011
Vol. 4, Issue 169, p. ra25
[DOI: 10.1126/scisignal.2001592]

Tomoharu Yasuda1*†, Kohei Kometani1*, Noriko Takahashi1, Yuuki Imai2‡, Yuichi Aiba1, and Tomohiro Kurosaki1,3||

1 Laboratory for Lymphocyte Differentiation, Research Center for Allergy and Immunology, RIKEN, Yokohama, Kanagawa 230-0045, Japan.
2 Division of Molecular and Cellular Oncology, Department of Medical Oncology, Dana-Farber Cancer Institute and Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
3 Laboratory of Lymphocyte Differentiation, WPI Immunology Frontier Research Center, Osaka University, Osaka 565-0871, Japan.

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: Program of Cellular and Molecular Medicine, Children's Hospital, and Immune Disease Institute, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.

‡ Present address: Institute of Molecular and Cellular Biosciences, University of Tokyo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-0032, Japan.

|| To whom correspondence should be addressed. E-mail: kurosaki@rcai.riken.jp

要約:免疫細胞では、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)のシグナル伝達経路が細胞周期の進行と細胞の生存において積極的な役割を果たすことが十分に確認されている。しかし、ERKシグナル伝達が細胞の分化において働いているかどうかは不明である。われわれは本稿で、ERKがB細胞から抗体産生形質細胞への分化に不可欠であり、形質細胞分化の転写リプレッサーで「マスター調節因子」であるBlimp-1をコードするPrdm1の発現を誘導することについて報告する。胚中心(GC)B細胞においてERK1とERK2の両方を欠くコンディショナルノックアウトマウスは、胚中心形成後に形質細胞の分化を起こさず、このマウスのメモリーB細胞は形質細胞へと分化しなかった。さらにERK1とERK2を欠損するB細胞は、インターロイキン-4存在下で抗CD40抗体により刺激したとき、Prdm1の発現が障害されていた。逆に、ERK1とERK2を欠損するB細胞におけるPrdm1の強制発現は、形質細胞の形成を回復させた。このように、今回の研究は、サイトカインがERKを刺激してBlimp-1の産生を誘導すること、それによってERKは細胞分化の過程に寄与することを示唆する。

T. Yasuda, K. Kometani, N. Takahashi, Y. Imai, Y. Aiba, T. Kurosaki, ERKs Induce Expression of the Transcriptional Repressor Blimp-1 and Subsequent Plasma Cell Differentiation. Sci. Signal. 4, ra25 (2011).

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