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ミトコンドリア活性酸素種による表皮の分化と毛包の発達の促進

Mitochondrial Reactive Oxygen Species Promote Epidermal Differentiation and Hair Follicle Development

Research Article

Sci. Signal., 5 February 2013
Vol. 6, Issue 261, p. ra8
[DOI: 10.1126/scisignal.2003638]

Robert B. Hamanaka1, Andrea Glasauer1, Paul Hoover2, Shuangni Yang2, Hanz Blatt2, Andrew R. Mullen3, Spiro Getsios2, Cara J. Gottardi1, Ralph J. DeBerardinis3, Robert M. Lavker2, and Navdeep S. Chandel1*

1 Department of Medicine, The Feinberg School of Medicine, Northwestern University, Chicago, IL 60611, USA.
2 Department of Dermatology, The Feinberg School of Medicine, Northwestern University, Chicago, IL 60611, USA.
3 Department of Pediatrics, University of Texas Southwestern Medical Center at Dallas, Dallas, TX 75390, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: nav@northwestern.edu

要約:表皮および濾胞上皮内でケラチノサイトの分化が適切に調節されることは、表皮のバリア機能と毛髪成長の維持にとって不可欠である。しかし、表皮と濾胞上皮の分化に関連する形態学的変化と遺伝的変化を調節するシグナル伝達中間体については、ほとんどわかっていない。われわれは、電子伝達系サブユニットをコードするミトコンドリア遺伝子の転写に不可欠なミトコンドリア転写因子A(mitochondrial transcription factor A:TFAM)の、ケラチノサイト特異的欠損マウスを作製し、ミトコンドリアが生成する活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)が表皮分化の重要な調節因子であるという仮説を検証した。ケラチノサイトにおけるTFAMの欠損は、表皮の分化と毛髪毛包の発達を抑制し、マウスは出生2週間後に死亡した。TFAM欠損ケラチノサイトは、ミトコンドリア由来のROSを生成することができず、この欠損は、表皮の分化と毛包の発達にそれぞれ不可欠なNotchとbカテニンのシグナル伝達を妨げていた。in vitroにおけるケラチノサイトの分化は抗酸化物質の存在下で抑制され、TFAM欠損ケラチノサイトで生じていた分化マーカー量の減少は、過酸化水素を外因性に投与することによって部分的に回復した。これらの知見は、ミトコンドリアが産生するROSが、細胞分化と組織の形態形成の重要なメディエーターであることを示唆する。

R. B. Hamanaka, A. Glasauer, P. Hoover, S. Yang, H. Blatt, A. R. Mullen, S. Getsios, C. J. Gottardi, R. J. DeBerardinis, R. M. Lavker, N. S. Chandel, Mitochondrial Reactive Oxygen Species Promote Epidermal Differentiation and Hair Follicle Development. Sci. Signal. 6, ra8 (2013).

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