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線虫(Caenorhabditis elegans)における嗅覚受容体のスクリーニングで高濃度および低濃度の匂い物質を感知するさまざまな受容体が明らかに
Screening of Odor-Receptor Pairs in Caenorhabditis elegans Reveals Different Receptors for High and Low Odor Concentrations
Sci. Signal., 29 April 2014
Vol. 7, Issue 323, p. ra39
[DOI: 10.1126/scisignal.2005136]
Gun Taniguchi1, Takayuki Uozumi1, Keisuke Kiriyama1, Tomoko Kamizaki2, and Takaaki Hirotsu1,2*
1 Graduate School of Systems Life Sciences, Kyushu University, Fukuoka 812-8581, Japan.
2 Department of Biology, Faculty of Sciences, Kyushu University, Fukuoka 812-8581, Japan.
* Corresponding author. E-mail: hirotsu.takaaki.056@m.kyushu-u.ac.jp
嗅覚系はさまざまな匂い物質を感知して応答する。嗅覚受容体は、ほとんどの生物ではGタンパク質(ヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質)共役受容体であり、揮発性または可溶性の匂い物質と直接結合する。哺乳類のゲノムと比較すると、線虫(Caenorhabditis elegans)のゲノムにはより多くの推定上の嗅覚受容体遺伝子が含まれており、線虫の嗅覚受容体と匂い物質の関係が組み合わせ的に複雑になりうることを示唆している。われわれは、RNA干渉(RNAi)スクリーニングを用いて、特異的な匂い物質への応答に必要な線虫の嗅覚受容体を同定した。このスクリーニングで、11の匂い物質と関連する194の嗅覚受容体候補遺伝子が同定された。さらに、われわれは高濃度のジアセチルの感知に関与するものとしてSRI-14を同定した。レスキュー実験および神経特異的RNAi実験では、SRI-14が特異的な化学感覚神経であるASH神経で機能し、回避応答を引き起こしていることが示された。カルシウムイメージングでは、ASH神経は高濃度のジアセチルのみに応答し、別の化学感覚神経に分類されるAWA神経は低濃度と高濃度の両方に反応することが明らかにされた。SRI-14の機能を欠損させると、高濃度ジアセチルに対するASHの応答が妨げられ、ODR-10の機能を欠損させると、低濃度の匂い物質に対するAWAの応答が低下した。SRI-14を異所的に発現させた化学感覚神経は、高濃度のジアセチルに応答した、このように線虫には、嗅覚受容体と感覚神経のレベルで分離した、濃度依存的に匂い物質を感知する機構がある。
G. Taniguchi, T. Uozumi, K. Kiriyama, T. Kamizaki, T. Hirotsu, Screening of Odor-Receptor Pairs in Caenorhabditis elegans Reveals Different Receptors for High and Low Odor Concentrations. Sci. Signal. 7, ra39 (2014).