• ホーム
  • PIP4kγは飢餓状態での基底レベルのmTORC1シグナル伝達を維持するmTORC1の基質である

PIP4kγは飢餓状態での基底レベルのmTORC1シグナル伝達を維持するmTORC1の基質である

PIP4kγ is a substrate for mTORC1 that maintains basal mTORC1 signaling during starvation

Research Article

Sci. Signal., 4 November 2014
Vol. 7, Issue 350, p. ra104
DOI: 10.1126/scisignal.2005191

Ashley M. Mackey1,2,*, Deborah A. Sarkes1,*,†, Ian Bettencourt1, John M. Asara3,4, and Lucia E. Rameh1,2,‡

1 Boston Biomedical Research Institute, Watertown, MA 02472, USA.
2 Department of Medicine, Boston University School of Medicine, Boston, MA 02118, USA.
3 Division of Signal Transduction, Beth Israel Deaconess Medical Center, Boston, MA 02115, USA.
4 Department of Medicine, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.

‡ Corresponding author. E-mail: rameh@bu.edu

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: U.S. Army Research Laboratory, Sensor and Electron Devices, Adelphi, MD 20783, USA.

要約  ホスファチジルイノシトール-5-リン酸-4-キナーゼ(PIP4k)は、ホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸[PI(4,5)P2]合成の基質としてホスファチジルイノシトール5-一リン酸(PI-5-P)を特異的に利用する脂質キナーゼのファミリーである。ショウジョウバエ(Drosophila)のPIP4k機能を抑制することで、細胞が小型化し、ラパマイシン標的複合体1(TORC1)シグナル伝達が低下する。われわれは、PIP4kのγアイソフォームが哺乳類TORC1(mTORC1)を介してシグナル伝達を刺激することを明らかにした。PIP4kγのノックダウンにより、mTORC1がTsc2欠乏により恒常的に活性化される細胞で細胞サイズが減少した。Tsc2欠損細胞では、mTORC1の活性化はアミノ酸またはグルコースおよびグルタミンに部分的に非依存性であった。PIP4kγのノックダウンにより、Tsc2ノックダウン細胞におけるmTORC1の栄養非依存的活性化が阻害され、野生型細胞ではmTORC1の基底レベルのシグナル伝達が抑制された。PIP4kγはmTORC1によりリン酸化され、複合体と会合していた。リン酸化PIP4kγは軽いミクロソーム小胞に豊富に含まれ、一方で非リン酸化体はゴルジ体と結合した重いミクロソーム小胞に豊富に含まれていた。さらに、基底レベルのmTORC1シグナル伝達は、非リン酸化野生型PIP4kγまたはリン酸化欠損変異型の過剰発現により亢進したが、リン酸化を擬態した変異型の過剰発現により抑制された。まとめるとこれらの結果は、PIP4kγとmTORC1は自己制御的なフィードバックループの中で相互作用し、飢餓状態におけるmTORC1活性化を低く維持し、厳密に調節したことを示している。

A. M. Mackey, D. A. Sarkes, I. Bettencourt, J. M. Asara, and L. E. Rameh, PIP4kγ is a substrate for mTORC1 that maintains basal mTORC1 signaling during starvation. Sci. Signal. 7, ra104 (2014).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2014年11月4日号

Editors' Choice

神経変性
ALSとパーキンソン病はマイトファジーで交わる

Research Article

タンパク質フォールディングはキナーゼに認識される構造に基づく非連続コンセンサスリン酸化モチーフを作り出す

PIP4kγは飢餓状態での基底レベルのmTORC1シグナル伝達を維持するmTORC1の基質である

Reviews

マイクロRNAとカルシウムが会合:小胞体のタンパク質恒常性にかかわる共同事業

最新のResearch Article記事

2025年09月09日号

フソバクテリウム・ヌクレアタムは酪酸駆動型エピジェネティック機構を通じてアンフェタミン誘導行動応答を増強する

2025年09月02日号

一次感覚ニューロンのGαqシグナル伝達がオピオイドの鎮痛作用をNMDA受容体誘導性の耐性および痛覚過敏に変化させる

2025年09月02日号

MAPKおよびmTORC1シグナル伝達は収束してサイクリンD1タンパク質の産生を駆動することによってメラノーマのパーシスター(残存)細胞における細胞周期の再開を可能にしている

2025年08月26日号

大腸菌(Escherichia coli)のストレス誘導性低分子タンパク質の解析により、YoaIが別個のシグナル伝達系間のクロストークを調節することが明らかに

2025年08月19日号

Hox-C12はβ2-アドレノセプターのcAMP/カルシウムフィードフォワードループとの共役を調整してトリプルネガティブ乳がんの浸潤を促進する