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I型インターフェロンのシグナル伝達は、Toll様受容体4のアダプタータンパク質TRIFを介するシグナル伝達へのバイアスに寄与する
Type I interferon signaling contributes to the bias that Toll-like receptor 4 exhibits for signaling mediated by the adaptor protein TRIF
Sci. Signal., 11 November 2014
Vol. 7, Issue 351, p. ra108
DOI: 10.1126/scisignal.2005442
Joseph P. Kolb1,2, Carolyn R. Casella2, Shuvasree SenGupta1,2, Paula M. Chilton1,2, and Thomas C. Mitchell1,2,*
1 Department of Microbiology and Immunology, University of Louisville School of Medicine, 570 South Preston Street, Louisville, KY 40202, USA.
2 Institute for Cellular Therapeutics, University of Louisville School of Medicine, Louisville, KY 40202, USA.
* Corresponding author. E-mail: tom.mitchell@louisville.edu
要約 Toll様受容体4(TLR4)によるシグナル伝達は、2つのアダプタータンパク質、すなわち骨髄分化マーカー88(MyD88)またはToll-インターロイキン-1(IL-1)受容体(TIR)ドメイン含有アダプター誘導性インターフェロンβ(TRIF)のいずれかを介している。MyD88を介したシグナル伝達によって炎症促進性応答が生じる一方、TRIFを介したシグナル伝達によっては、ワクチン応答の促進に有益な、毒性の低い免疫促進性応答が生じる。モノリン酸化脂質A構造がTRIFにバイアスをかけるTLR4アゴニストとして働くという仮説は、これがワクチンアジュバントとして臨床的意義を持つことの潜在的機構を示すものであるが、TRIFにバイアスをかけるアゴニストの複数の研究からは矛盾する結果が得られている。われわれはマウス樹状細胞を用いた実験を行い、TLR4は使用するアゴニストにかかわらず、I型インターフェロンの自己分泌および傍分泌作用に依存する機構を介して、TRIFにバイアスをかけるシグナル伝達システムとして働くことを見いだした。TLR4アゴニストである合成脂質Aは、MyD88を介したシグナル伝達に依存する遺伝子発現を誘発するために必要な濃度よりも低濃度で、TRIF依存性遺伝子の発現を誘発した。I型インターフェロンのシグナル伝達を遮断したとき、TRIF依存性遺伝子の発現を誘発する脂質Aの効力は選択的に低下し(必要な濃度が上昇し)、それによりアダプターのバイアスは消失した。これらのデータは、強力な効力をもつTLR4アゴニストが、有害なMyD88依存性免疫応答を全くあるいはわずかにしか活性化しない一方で、免疫促進に必要なTRIF依存性シグナル伝達イベントを選択的に活性化し、臨床的に有効なワクチンアジュバントして作用できるしくみを説明していると考えられる。
J. P. Kolb, C. R. Casella, S. SenGupta, P. M. Chilton, and T. C. Mitchell, Type I interferon signaling contributes to the bias that Toll-like receptor 4 exhibits for signaling mediated by the adaptor protein TRIF. Sci. Signal. 7, ra108 (2014).