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EGFR/HER3ヘテロ二量体の構造解析によってHER3活性化変異体の分子基盤が明らかになる

Structural analysis of the EGFR/HER3 heterodimer reveals the molecular basis for activating HER3 mutations

Research Article

Sci. Signal., 2 December 2014
Vol. 7, Issue 354, p. ra114
DOI: 10.1126/scisignal.2005786

Peter Littlefield1, Lijun Liu1, Venkatesh Mysore2, Yibing Shan2, David E. Shaw2,3, and Natalia Jura1,4,*

1 Cardiovascular Research Institute, University of California San Francisco, San Francisco, CA 94158, USA.
2 D. E. Shaw Research, New York, NY 10036, USA.
3 Department of Biochemistry and Molecular Biophysics, Columbia University, New York, NY 10032, USA.
4 Department of Cellular and Molecular Pharmacology, University of California San Francisco, San Francisco, CA 94158, USA.

* Corresponding author. E-mail: natalia.jura@ucsf.edu

要約 ヒト上皮増殖因子受容体(HER)チロシンキナーゼは、ホモ二量体およびヘテロ二量体を形成して下流シグナル伝達経路を活性化する。HER3は、いくつかのヒト悪性腫瘍の発生に寄与する触媒機能の損なわれたHERファミリーの一員であり、がんのサブセットにおいて変異している。HER3シグナル伝達は、触媒活性のある相手、とりわけ上皮増殖因子受容体(EGFR)(HER1としても知られるファミリー創設メンバー)またはHER2とのヘテロ二量体化に依存する。触媒活性のあるHERファミリーメンバーで構成されるホモ二量体複合体の活性は、2つのキナーゼドメイン間のアロステリックな活性化に依存する。触媒活性のあるHERファミリーメンバーとのヘテロ二量体化を介したHER3シグナル伝達の構造的基盤を明らかにするために、われわれは単離されたEGFRとHER3のキナーゼドメインによって形成されたヘテロ二量体複合体の結晶構造を解明した。その構造は、HER3がEGFRのアロステリック活性化因子であることを示しており、ヘテロ二量体化を介したHERファミリーメンバーの活性化の際にそのアロステリック機構が保存された役割を果たすことが明らかになった。がんに関連するHER3変異の分子レベルでの影響を理解するために、われわれはHER3変異体の2つのキナーゼドメインの構造を解析した。いずれもEGFRのキナーゼドメインとヘテロ二量体複合体を形成した。これら複合体の構造は、生化学的解析と分子動力学シミュレーションとの組み合わせによって、がんに関連するHER3変異体が二量体化のインターフェースにおける局所的相互作用の再設計によってHER3のアロステリック活性化因子の機能を亢進することを示していた。

P. Littlefield, L. Liu, V. Mysore, Y. Shan, D. E. Shaw, and N. Jura, Structural analysis of the EGFR/HER3 heterodimer reveals the molecular basis for activating HER3 mutations. Sci. Signal. 7, ra114 (2014).

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